今月18日に清水建設は、2007年開発の超精密環境生産施設・研究施設向け高性能免震システム「マルチステップ免震」の適用実績が、海外案件を含めた8棟で延床面積50万平方メートルを突破したと発表。ちょうど、「虎ノ門ヒルズ」2つ分にあたる。
このシステムは、微振動抑制と地震対応の免震機能を兼ね備えた高性能免震システムで、主に精密環境が要求される半導体施設やクリーンルーム、建物内に大きな振動源をもつ印刷工場など、生産・研究施設で適用され、効果が確認されている。
システムの特性としては、通常の「積層ゴム」、微小な揺れを抑制する「剛すべり支承」、免震層の動き出しを滑らかにする「弾性すべり支承」の3種類の免震装置によってなっており、それぞれを組み合せ建物の特性に合わせて最適配置するものである。
ポイントは、平常時には剛すべり支承の摩擦抵抗により、建物に生じる微小な揺れを抑制。また地震発生時には、剛すべり支承の摩擦抵抗が切れて、摩擦係数が低い弾性すべり支承が機能して滑らかに免震機能を発揮させ、建物への被害を抑制する。
免震構造は、建物の機能性を維持し事業継続を可能にするために不可欠である。そのため、この分野での研究は持続していかなければならない。同社は、自社の技術研究所において、マルチステップ免震を採用したモックアップクリーンルームを設置している。
理想的な免震構造とは、平常時には非免震構造のように揺れにくく、地震時には高い免震機能を発揮する建物である。 同社は引続き、こうしたニーズに対応すべく精密環境が要求される施設を中心に「マルチステップ免震」を積極的に提案していく構えだ。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
清水建設 ニュースリリース
http://www.shimz.co.jp/news_release/2016/2016038.html