活性汚泥
活性汚泥とは、有機物質と無機物質を摂取・分解できる微生物によって構成された汚泥である。下水処理場、し尿処理場、浄化槽などで使用される。
活性汚泥が持つ摂取・分解能力により、汚水の中に含まれる汚濁物質を除去することができる。また、赤潮の原因にもなる窒素・リンも除去することができる。そのため、活性汚泥は下水処理場における排水処理工程の中で活用されている(ばっ気槽)。
活性汚泥を活用する排水処理は1930年から日本で行われており「活性汚泥法」と名付けられている。ちなみに活性汚泥以外の浮遊物を含んだ汚泥は「汚泥」、活性汚泥法により浄化を行った際に生じる新たな汚泥は「余剰汚泥」と呼ばれ、区別される。
■定義
正常な活性汚泥の中には、フロックと呼ばれる綿くず状の微生物の集合体(数mm程度)が見られる。汚水中の汚泥が活性汚泥であることを判断するためには、このフロックの浮遊を確認できるかが重要な要素となる。
活性汚泥の色や形は処理対象である汚水の成分や季節などの様々な要因によって変化するため、明確な定義が存在しない。
■構成要素
活性汚泥は、酸素を使って呼吸する「好気性細菌群」と、酸素が足りない際に別の物質を使って呼吸する「通性嫌気性細菌群」によって構成されている。それぞれの役割は、以下の通りである。
「好気性細菌群」…水中の有機物質を酸化し、水や炭酸ガスに分解する。
「通性嫌気性細菌群」…好気性細菌群が分解できない有害物(無機窒素化合物など)を窒素ガス、炭酸ガス、アンモニアに分解する。好気性細菌群よりも分解スピードが遅い。
※通性嫌気性細菌群を利用した生物処理は、メタン発酵法ともいわれる。