水処理プラントとは

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水処理プラント

水処理プラントとは、水を使用目的にあわせた水質にするため、または周辺環境に影響を与えない水質にして排出するために、各種の処理を行う設備のことです。

 

水処理の種類

 水処理には、汚れた水を排水できるレベルにまできれいにする下水処理や工場排水の処理、河川水などから上水をつくる浄水処理や海水の淡水化、工業用純水をつくる処理など、用途に応じたさまざまな種類があります。

汚染水の処理

(1)下水道の現状
下水道は、雨水や汚水を、地下水路などで集めて公共用水域へ排出するための設備です。最終的に浄化などの水処理を行ってから排出します。
下水に集まる汚水には、水洗式便所からのし尿や、家庭における調理・洗濯で生じる生活排水、商店やホテル、工場や事業場からの産業排水などがあります。工場など、水質汚濁防止法で規定される特定施設に対しては、排出基準が定められています。
日本の下水道普及率は、75.1%(平成23年度末)とかなりの水準を達成していますが、地域格差が大いため、未普及地域における早急な整備が求められています。一方、普及率が高い都市部では、合流式下水道の改善、老朽化した管路施設の更新、汚泥リサイクルの推進などが課題となっています。

 

(2)下水道の方式
下水道には、汚水と雨水を一緒に流す合流式と、別々に流す分流式があります。
合流式は、埋設する管路が1本のため、分流式より施工が容易で安価となります。比較的早い時期に下水道が整備された大都市地域に多く見られます。降雨時に下水が急増して下水処理場の処理が間に合わなくなりと、未処理または簡易処理のみで放流せざるを得なくなります。
分流式は、汚水と雨水を別の水路で集め、雨水はそのまま、汚水は浄化処理して放流する方式です。現在新設される下水道は、ほぼ全てがこの方式です。降雨による流量や水質の変動がないため、浄化処理を安定的に行うことができます。

 

(3)下水処理場
下水処理場は、下水道汚水を浄化して、河川や湖沼または海へ放流する施設です。処理工程を経て浄化された処理水は、消毒して公共用水域に放流されるか、工業用水等の雑用水として再利用されます。
わが国のほとんどの下水処理場では、好気性微生物の働きを利用して下水を処理しています。河川などでは、石などに付着した微生物が水中の汚れを分解して、きれいにしていますがこれと同じ働きです。
下水処理場に到着した下水は、最初沈殿池で沈殿しやすい汚い物質を沈殿させます。次に、反応タンク下水に空気を送り込み、好気性微生物を繁殖させます。微生物が酸素を得て活発に活動し、下水中の有機物を吸着して分解していきます。微生物は凝集して綿状になり、このタンクを6~8時間程度かけて通過させます。反応タンクから流れてきた下水は、最終沈殿池をゆっくりと流れ、この間に、大きな綿状になった活性汚泥が沈殿します。この活性汚泥を取り除いた段階で汚れは90%以上除去されています。沈殿させた活性汚泥は、一部を反応タンクに戻し、残りを汚泥処理施設に送ります。最終沈殿池から流れてきた上澄水を消毒設備で消毒します。この消毒した水を処理水といい、公共用水域に放流して自然に戻します。工業用水としても再利用されています。
近年、水域の富栄養化防止や処理水の再利用のため、さらに高度の処理を行う下水処理場もあります。活性汚泥の大半は廃棄処理されていますが、固形燃料化やバイオガスなどへの有効利用が推進されています。

 

(4)工場排水の処理
工場で製造や洗浄に使用された水には、重金属やさまざまな化学物質が含まれています。かつては、それらの工場排水よって健康被害など公害も起こりました。現在では、工場排水の排出基準は「水質汚濁防止法」で定められており、都道府県はさらにきびしい上乗せ排水基準を定めることもできます。
 製造工程や原料など、生産工場の特性や排水に含まれる物質の種類に応じたさまざまな水処理プラントがあります。

 

海水の淡水化

地球上の水のほとんどは海水であり、淡水は北極や南極の氷を加えても約2.5%といわれています。しかも人類が飲料水として使えるのは、わずか0.8%しかありません。
そこで、海水から新たな水資源を確保する海水淡水化プラントが各国で稼働しています。日本国内にも建設・稼働している施設が数十箇所あります。
淡水化の方法には、「蒸発法」「電気透析法」「逆浸透法」の3つがありますが、最近では、処理プロセスが簡単でしかも経済的な「逆浸透法」が多く使われています。

 

純水の需要と生産

純水とは、不純物をほとんど含まない純度の高い水のことです。
電子部品や電子回路の基板や液晶パネルに使うガラスなどの洗浄水には、純水や超純水を用います。洗浄水にごく微量の不純物が残っていても製品の品質に重大な影響を及ぼすためです。
食品や飲料、医薬品の原料水にも純水を用います。水道水や井戸水などをそのまま用いると不純物の量によって品質のばらつきを引き起こすことがあるためです。
この不純物を取り除き、純粋な水をつくる装置が純水製造プラントです。逆浸透膜などによる濾過や紫外線やオゾンによる有機物の分解などの工程を経て純水をつくります。

 

これからの水処理プラント

世界的な水不足の深刻化により水処理市場は成長を続けています。飲料用途や工業用純水に加えて、下水や産業廃水の再利用、農業用水などの需要も拡大しています。地域的には、中東や北アフリカ、中国、インド、南米といった新興国における需要の拡大が予想されています。
 日本企業の水処理技術に大きな期待が寄せられています。

 

用語解説

活性汚泥
活性汚泥とは、水中の有機物を吸着、分解しながら、呼吸・増殖を続ける微生物の集まりのことです。下水中に存在する微生物が酸素の供給を受けて繁殖し、有機物を分解しながら浮遊性有機汚泥になります。
沈殿した汚泥は、埋立処分されるほか、焼却されて肥料やセメント原料、煉瓦などに加工されることもあります。

 

逆浸透膜
逆浸透膜は、ろ過膜の一種であり、水を通しイオンや塩類など水以外の不純物は透過しない性質を持っています。RO(Reverse Osmosis Membrane)膜とも呼ばれます。海水淡水化プラントでは、海水に圧力をかけて逆浸透膜を通過させることで塩分などの不純物を取り除きます。

 

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