建設コンサルタントとは

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建設コンサルタント

道路、河川、ダム、橋梁などの公共工事は、建設会社によって行われますが、工事前の調査、計画、設計などの業務は建設コンサルタントが行います。
これまでは、発注者の立てた公共事業の計画を具体的に設計する業務が中心でした。これからは、事業性評価や調査業務など、発注者を支援する役割が重要になります。

 

建設コンサルタントの歴史

わが国の公共工事は、明治以降、内務省、鉄道省、農林省などの技術者により、企画調査から施工までが直轄で行われてきました。
戦後しばらくまでその体制が続いていましたが、昭和30年代に社会資本整備の事業量が急速に拡大したため、民間技術力の活用が必要となり、建設コンサルタントの制度が確立されました。
昭和34年(1959年)に当時の建設省から「設計・施工の分離原則」が通達され、設計業務の受託者は当該設計に関わる工事の入札に参加できないことになりました。これによって、設計業務を建設コンサルタントが行う流れが明確になりました。

 

建設コンサルタントの登録

 建設コンサルタントは国土交通大臣の登録を受けることで公共事業の調査や設計業務を受注することができます。
 建設コンサルタント登録業者数は、右肩上がりに増加していましたが、公共事業費の減少にともなって平成17年をピークに減少に転じています。登録事業者の規模は、資本金1,000万円以上2,000万円未満、次いで2,000万円以上5,000万円未満の企業が多く、両者で全体の3/4を占めています。

 



 登録は、道路、河川・砂防及び海岸・海洋、港湾及び空港など、21の登録部門ごとに行い、部門ごとに技術管理者を置かなければなりません。技術管理者は、その部門に登録している技術士であることが必要です。
 登録部門は、道路、鋼構造及びコンクリート、河川・砂防及び海岸・海洋 などが多くなっています。

 

 

建設コンサルタントの役割

建設コンサルタントは、これまで主として調査・計画・設計等の業務において発注事業者のパートナーとして事業執行を支援してきました。しかし、近年は公共工事を取り巻く状況が大きく変化しており、事業者が地域住民とコミュニケーションを図り、事業目的や事業内容の説明を十分に行うことが求められています。それに伴って、建設コンサルタントには、社会的合意形成を担当したり、第三者の立場で設計審査や施工監理を実施する役割が求められるようになってきました。
(1) 構想・計画
 国土・地域・都市整備事業の政策立案や構想・計画段階でのフィージビリティ・スタディを行います。事業評価や社会的合意形成等の業務も行います。
 長期的視野に立った計画立案能力、技術力はもちろんのこと、関係機関や地域との調整能力も求められます。
(2) 設計
 工事発注に必要な図面の作成、工事数量の算定などを行います。
(3) 工事発注・積算・入札
 施工業者選定や技術力評価などのアドバイザー業務を行います。発注者支援の役割が重要になっています。
(4) 工事施工・検査
工事着手段階や工事中に、発注者、施工者、設計者が設計意図を共有して適切な設計・施工方法を協議する機会が増えています。施工中においても建設コンサルタントの役割が重要になっています。
(5) その他
防災等のリスクマネジメントや公共施設の資産管理、土木技術の専門アドバイザーや教育・研修業務、PFIでのアドバイザリーおよびモニタリング業務などの役割も期待されています。

 

建設コンサルタントの技術者

建設コンサルタントの業務を行うためには、常に高度な技術力が求められます。また、正しい倫理観を持ち、適切な技術で問題を解決できることが必要です。
 そのためには、専門能力やコミュニケーション能力を継続して高めていく努力が欠かせません。建設コンサルタント会社では、企業内の技術者が役割に応じて、能力開発を継続的に維持・向上できるように支援しています。
 建設コンサルタントで活躍する女性技術者も増えています。

 

建設コンサルタント業務の入札方式

 これまで、建設コンサルタント業務については、主としてプロポーザル方式と価格競争入札方式での入札が行われてきました。今後は、価格と品質が総合的に優れた契約をするために、総合評価方式の比率が高くなると考えられます。

 

用語解説

※公共工事の品質確保の促進に関する法律
 建設市場の縮小に伴って公共工事の入札競争が激化してきました。その結果、低価格入札による品質低下や経営や労働環境の悪化、将来の技術力低下などが懸念されるようになったため、平成17年4月に「公共工事の品質確保の促進に関する法律」が施行されました。価格と品質が総合的に優れた内容の契約がなされることにより、公共工事の品質を確保することを規定しています。

プロポーザル方式
設計者を選定する場合、価格の安さだけで選定すると、期待した結果が得られない危険があります。また、コンペ方式では受注できるかどうか不明なまま、詳細な設計まで行うため、応募者の負担が大きいという問題があります。プロポーザル方式は、複数の者から事業の目的に合致した企画を提案してもらい、その中から企画・提案能力のある者を選ぶ方式です。コンペ方式が「設計書」を選定するのに対し、プロポーザル方式は「設計者」を選定する方式です。

※総合評価落札方式
入札者が示す価格と技術提案の内容を総合的に評価し、落札者を決定する落札方式です。技術提案では、性能の維持や施工時の安全性、環境への影響などが評価されます。

 

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