消費者が安心できるリフォーム市場に向けて ~リフォーム事業者団体を国が認定~
2015年04月17日
2014年9月1日に「住宅リフォーム事業者団体登録制度」が創設されました。
住宅のリフォームに関わる事業者団体を国が認定する制度です。消費者が安心してリフォームできる環境を整備することが最大の狙いです。
いろいろなリフォーム
住宅のリフォームには多くの種類があります。
建物の骨組みだけを残してほぼ全面的に改築するものもあれば、設備だけを交換するものや内装だけを変えるものもあります。
また、耐震性や省エネ性、バリアフリーなどの性能を向上させるリフォームもあります。
さらに、マンション住戸のリフォームやマンション全体の大規模改修もあります。
このように、リフォームには多様な種類があります。
そして、少子高齢化が進む日本では、今後の住宅市場は、これまでの新築中心からリフォームが中心になっていくと予測されています。
リフォーム市場の問題点
住宅リフォーム市場には多くの課題があります。
国民生活センターへのリフォームに関する相談件数は、年間1.6万件前後と、非常に多くの相談が寄せられています。
出典:国土交通省「国民生活センターにおけるリフォーム関係相談の状況について」
その理由のひとつは、リフォームを行う事業者が多様であり、消費者が事業者をどのように選べば良いかが分かりにくいからです。
リフォーム市場には、大手住宅メーカーや地域の工務店だけでなく、リフォーム専業会社や設備機器会社、ホームセンター、家電量販店まで多くの事業者が参入しています。
知識も技術レベルも様々で、消費者にはそれを評価する術がありません。
さらに、500万円以下の工事であれば、建設業の許可を受けてなくても工事ができるなど、規制が緩いという問題もあります。
その結果、多くのトラブルが発生し相談が持ち込まれる状況になっているのです。
消費者は、「信頼できる事業者はどこか」「この見積価格は適正か」という悩みを抱えています。
リフォーム事業者団体登録制度
このような問題を解決するために創設されたのがリフォーム事業者団体登録制度です。
住宅リフォーム事業者の適正な業務の運営や消費者への情報提供を行うなど、一定の要件を満たすリフォーム事業者団体を国が登録します。
団体は登録リフォーム事業者に対して人材育成や情報提供も行わなければなりません。
そして、事業者の研修受講の状況や工事実績などの情報を公開し、指導・助言・勧告・除名を行うことで、加盟事業者のレベルを一定の基準以上に保ちます。
このため、消費者は認定団体に登録されている事業者に対して、安心して相談をすることができるようになります。
団体は、登録事業者についての消費者からの苦情について、窓口として対応することも義務付けられています。
これからのリフォーム市場
今後は、登録事業者であれば、ある程度安心して相談を行うことができるようになります。
しかし、登録された事業者が自分の希望にあうリフォーム工事を行ってくれるかどうかは、また別の話です。
消費者自身が、良く検討して信頼のおける、そして自分に合った事業者を選ぶという原則は変わりません。
リフォーム事業者淘汰の時代へ
一方で、登録できない小規模事業者が市場から排除されるのではないかとの懸念も広がっています。
国は、「あくまで任意の制度であり、団体登録を受けていない事業者の資質や能力が不足しているというということではない」としていますが、リフォーム事業者の淘汰が進むことは間違いないと考えられます。