仕事はあっても職人がいない~職人不足と人件費の高騰~ | 建設・設備求人データベース

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仕事はあっても職人がいない~職人不足と人件費の高騰~

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2013年09月10日

東日本大震災の被災地である岩手県、宮城県、福島県では、復興事業の入札で約2割が不成立となっています。建設資材や人手の不足が主な原因です。

建設就業者と入職者の減少

建設業従業者は、1997年には685万人を数えましたが、2012年には、503万人まで減少しています。さらに、高齢化も進み、1997年には24%であった55歳以上の割合が2012年には34%と10%もアップしています。

       出典:一般社団法人 日本建設業連合会「建設業ハンドブック2013


職種別では、職人といわれる技能工・建設作業者が130万人も減少しています。

       出典:一般社団法人 日本建設業連合会「建設業ハンドブック2013

職人減少の背景

1990年代後半からの建設市場の縮小のため、ゼネコンは低価格での受注競争を行い、下請企業への発注金額が絞られました。そして、そのしわ寄せは、職人の賃金引き下げという形で表れました。会社を存続させるために労働者の賃金を削減せざるを得なかったのです。

建設業界は、もともと労働条件が良い業界ではありませんので、さらに労働条件が悪化したことで、若い人は見切りをつけて建設業から離れていきました。新規学卒者の建設業への入職もピーク時の半分程度となり、24歳以下の若年層が大幅に減少しています(図表-3)。

他業界への転身が難しい高齢者が建設業を支えている状況です。


       出典:一般社団法人 日本建設業連合会「建設業ハンドブック2013



現場管理者の不足も

不足しているのは、職人だけではありません。
不況時のリストラや新卒採用を抑制してきた影響で、現場の施工管理や品質管理を行う管理者も不足しています。管理人材の問題は、早いうちから手を打たないと、いずれ品質面などで表面化して大変なことになります。

そのため、大手ゼネコンの中には、中途採用や新卒採用を大幅に増やす企業もあります。

課題となる人材の育成

職人にしても管理者にしても、優秀な人材を育てるのには時間がかかります。特に、現場で作業を覚える職人の育成には、相当の年月が必要です。しかし、多くの企業は目先の利益に追われてなかなか対応できていません。

これまで多くのベテラン職人たちは、技術継承のために見返りを求めず、後進の育成に努めてきました。しかし、現在では自分の生活や労働を守ることに精一杯で、後進を育てる余力はないに等しい状況です。

現在の建設業界を支えているベテランの職人がいなくなると技術伝承が難しくなり、日本の建設技術が維持できなくなることが懸念されています。

復興需要と人件費の高騰

このような建設業界において、復興需要の本格化に伴い、職人不足の状況が一段と浮き彫りになっています。

建設会社は人集めのために人件費の引き上げを行っており、労務費・外注費が高騰しています。職人の人件費は、これまでに比べて3割から5割ほど上昇しました。3~5割と考えると大幅な高騰ですが、ようやくダンピングレベルから適正水準に戻って来たというのが実際のところです。

職人不足は、東北の被災3県以外の九州や北海道にも影響が及んでいます。躯体工事に従事する鉄筋工や型枠大工の職人が不足して工事がストップする現場が出ています。

国土交通省は、公共工事の発注予定価格を決める時に使う賃金基準(労務単価)を、2013年度は全職種の平均で前年度より15%引き上げています。

今後の建設業の人材問題

新規の入職者が減る中で、現在の建設業を支えているベテランが引退すれば、職人はさらに減少します。多少、賃金が戻ったくらいでは、この職人不足の傾向に歯止めをかけることはできません。

構造物は、優秀な設計者や施工管理技術者がいても、実際に手を動かして建物を造る人がいなければ出来上がりません。

今後、災害などの大きな建設需要が生じた場合は、これまでのような対応は不可能です。緊急災害時の対応が大きな問題として心配されています。


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