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シェールガス革命とプラント業界への影響

2013年09月24日

シェールガス革命で世界のエネルギー事情が大きく変わろうとしています。

 

シェールガスの開発

シェールガスとは、頁岩(けつがん・シェール)と呼ばれる硬い岩盤層に含まれる天然ガスのことです。頁岩中に天然ガスがあることは以前から知られていましたが掘削・生産のコストが高いことから商業生産されていませんでした。
しかし、2000年代に入ってからアメリカで水圧破砕(フラッキング)法と水平坑井掘削技術の開発が進み、生産コストが下がったため商業生産が始まりました。
水圧破砕とは、シェールガスが存在する地層まで井戸を掘り、500~1000気圧の水圧で地層に人工的な割れ目を作ってガスを取り出しやすくする方法です。水平坑井掘削は、地層に沿って水平に掘削する技術です。(図表-1)

 

       出典:資源エネルギー庁「エネルギー白書2013

 

シェールガスと天然ガスの違い

シェールガスも従来の在来型天然ガスも、地下から掘削する天然ガスであることは同じです。在来型天然ガスは、地下数百メートルに存在し、井戸を掘っただけで採取できるのに対して、シェールガスは、地下数千メートルの頁岩層の中に閉じ込められているため井戸を掘っただけではあまりガスが出てきません。そのために特殊な採掘技術が必要だったのです。

 

シェールガスの生産拡大

 シェールガスの生産によって、アメリカが天然ガスの輸入国から輸出国に転換するなど、世界のエネルギー供給源のバランスが大きく変わりつつあります。
シェールガスの大量生産によって天然ガスの急激な低下が引き起こされ、2008年には100万BTU(英国熱量単位)当たり7~8ドルであった米国内の天然ガス価格は、12年には3ドルとなっています。また、米国における2020年度のシェールガス生産量は2010年度比較で約五倍に拡大し、2億1000万トン(LNG換算)になると推定されています。(図表-2)

 

       出典:資源エネルギー庁「エネルギー白書2011

 

日本のエネルギー調達への影響

 天然ガスの特徴は、熱が高いにも関わらず、CO2排出量が石油や石炭に比べて少ないことです。発電コストも他の燃料に比べ安いため、欧米と日本で積極的に使われてきました。
欧米では天然ガスを産地からパイプラインで運ぶのが一般的ですが、日本は陸続きでないため、産地で液化してLNG(液化天然ガス)として輸入しています。また日本のLNG輸入価格は、原油価格に連動した契約になっているため、他国に比べて高くなっています。現在は、中東やインドネシア、ロシアなどから100万BTU当たり15ドル以上で輸入しています。
日本はまだアメリカとTPP・FTAを締結していないため、天然ガスの輸出が許可されていませんでしたが、今年になって一定量の輸出が解禁されました。
近い将来の輸出拡大を見越して、シェールガス権益を獲得する動きが活発になっています。

 

シェールガス採掘の問題点

シェールガスの掘削によって以下のような環境被害が指摘されています。
(1)掘削の水に混ぜて用いられる潤滑剤やポリマーなどの化学物質よる地下水の汚染
(2)採掘現場から空気中に漏洩するメタンガスによる大気汚染
(3)掘削に用いた排水を地下に圧入することによる地震発生

 

プラント業界への影響

シェールガスを米国から日本に輸入することになれば、ガスを液化するLNGプラントが現地に必要になりますし、日本では受入設備、貯蔵設備も必要になります。また、LNGの輸送にはLNGタンカーも必要です。このようなことから、総合商社やプラント業界で大きな注目を浴びています。
 一方で、日本国内の石油化学プラントには頭の痛い問題が生じています。米国の化学プラントが低価格な天然ガスを使うことができるようになり価格競争力を強めているからです。日本国内の石油化学プラントはコスト面で太刀打ちできなくなるため、操業停止を計画しているところもあります。

 

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