関門トンネルはいくつある?~古希を迎え新たなトンネルが必要に~ | 建設・設備求人データベース

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関門トンネルはいくつある?~古希を迎え新たなトンネルが必要に~

2017年05月11日

関門トンネルは、関門海峡を結ぶ海底トンネルです。山陽本線が通るトンネルと国道2号線のトンネル、そして新幹線が通る新関門トンネルがあります。国道のトンネルは、関門国道トンネルも呼ばれます。

 

関門海峡とトンネル

関門海峡は福岡県北九州市と山口県下関市の間にある狭い海峡です。このうち、水深の浅い「大瀬戸」に関門トンネル(鉄道)があり、もっとも海峡が狭い「早鞆の瀬戸」に関門国道トンネル、山陽新幹線の新関門トンネル、そして高速道路の関門橋が通っています。海峡の最も狭い部分は幅が630mです。

 

75年を超えて活躍する関門トンネル

関門トンネルは、JR九州の山陽本線下関駅-門司駅間にあります。単線トンネル2本で構成され、下り線トンネルは全長3,614m、上り線トンネルは全長3,605mです。

 

もともと海峡は、関門連絡船で結ばれていましたが、乗換・積替の手間を省いて輸送力を増強するため、明治末期にはトンネル建設の計画が持ち上がりました。

 

橋梁方式、トンネル方式、そして列車を船に積み込んで対岸に渡す渡船案が検討されましたが、関門海峡は通航する船舶が多く、しかも潮流が激しいこと、トンネルの方が橋よりも建設費が安く、爆撃を受ける可能性も少ないことからトンネル案が採用されました。

 

しかし、第一次世界大戦後の物価高騰や関東大震災の影響で中止され、再度計画されたものの、昭和金融恐慌の影響で再び中止されました。その後、昭和6年には関門間の貨車航送が激増して限界に近づいたため、着工に至りました。

 

トンネルの工事は、鉄道省の直轄施工で行われ、昭和11年に着工して昭和17年7月に下り線が開通しました。上り線は昭和15年に着工して昭和19年8月に開通しました。

 

単線2本の関門トンネル(鉄道)

トンネルの建設には、山岳工法、開削工法、そしてシールド工法が用いられています。国産シールドマシンを使った最初の工事でした。

 

単線トンネルが採用された理由は、複線トンネルを採用すると、断面積が大きくなり、海底下のより深い場所を通さなければならず、トンネル総延長も長くなるためでした。また、トンネル内で列車脱線等の事故が発生した場合に、単線トンネル2本であればもう1本のトンネルで運転をすることができるのも有利と判断されました。

 

工事中の危機

工事中は、湧水を防ぐため、最大で約2.52気圧まで坑内気圧を上昇させて工事を行いました。シールド内の高圧空気が地底を通じて漏れて、気泡が海面に溢れていることもありました。また、海上での貨物船衝突事故の影響で、工事ルート上の海底に深さ2~3メートルの大きな溝ができる、停電事故により坑内圧の低下による大事故の危険が迫るなどのトラブルもありましたが無事に完成しました。

 

そして、第二次世界大戦中の船舶不足のなか、九州・本州間の連絡に重要な役割を果たしました。

 

関門国道トンネル

関門国道トンネルは、鉄道より遅れて昭和12年に試掘導坑の掘削が開始されました。しかし、第二次世界大戦による資材不足と戦災で昭和20年に工事を中断しました。その後、昭和27年に工事を再開し、昭和33年3月に開通しました。

 

海底部の780 mはトンネル断面の上3分の2程度が車道、下3分の1程度が人道の2層構造になっています。前後のアプローチ部は車道のみの構造となって
います。

 

新関門トンネル

新関門トンネルは、JR西日本山陽新幹線新下関駅-小倉駅間にある全長 18,713mの鉄道海底トンネルです。新幹線の博多までの開通に伴い、昭和50年に完成しました。

 

新たなトンネルの必要性

関門トンネル(鉄道)は、開通後75年を越えました。トンネル内には毎日、600トンもの海水や地下水が漏出しているため、ほぼ毎日3時間程度片側のトンネルを閉鎖して片側交互通行で運行されています。

 

また、昭和33年に完成した関門国道トンネルも完成からすでに59年が経過しており、海水の漏出で損傷が激しくなっています。さらに、自動車道の幅が7.5mしかないため、対面通行で大型トラック同士がすれ違うとギリギリの幅です。10年毎に大規模補修工事が行われていますが、工事中は、年の3分の1近くが不通という状態になっています。

 

本州と九州をつなぐ大動脈である関門海峡にはいざという時のバックアップも必要です。新たな関門トンネルが必要となる時期が近づいています。

 

【用語解説】

■山岳工法

トンネルを横方向に掘りながら、鉄の枠や吹付コンクリートで地山を支え、最後にコンクリートでかためてトンネルをつくる方法です。多くのトンネルで用いられている工法です。

 

■開削工法

地面を掘り返してトンネルをつくり、後で埋めもどす方法です。都会の地下街や、地下鉄をつくるときによく使われます。

 

■シールド工法

先端にドリルの付いたシールドマシンを横方向に置き、先端でトンネルを堀りながらマシンの通過後にセグメントと呼ばれるパネルを組み立ててトンネルを掘っていく方法です。

 

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