コンクリートはなぜ固まるのか ~水中でも固まるコンクリートの不思議~
2017年02月23日
コンクリートは、イスラエルのイフタフ遺跡から発掘されたものが起源だといわれています。このコンクリートは石灰石を焼いた粉がベースで骨材は砕いた石灰石が用いられていました。約9千年前の住居のものです。
ローマ時代のコンクリート
ローマ時代には、ローマ人がヴェスビオス火山の山麓にあった火山灰に石灰や砕石を混合したものが水中で硬化し、強度を増すことに気付きました。そして、この材料を使って、橋や水道橋などの構造物を造りました。
当時のローマ人にとってコンクリートは革命的な材料でした。石やレンガのように形や使い方に制限がないため、自由で斬新なデザインの建築が可能となったからです。
コンクリートが固まるしくみ
コンクリートは、セメントと砂、砂利、水を混ぜてつくります。セメントは、カルシウム、珪素、アルミニウム、鉄などの元素から成り、水に接するとカルシウムのイオンが溶け出します。続いて他のイオンも溶け出し、これらが水に溶けにくいセメント水和物という結晶を生成します。このセメント水和物が時間の経過とともにセメント粒子間の空隙を充填し、硬化していくのです。
コンクリートは、このセメント硬化体が砂や砂利を接着させることで強い材料となるのであり、乾燥によって固まるのではありません。水が少ないと硬いコンクリートができるのは、より緻密な結晶ができるからです。しかし、水が少なすぎると水和反応が進まない、流動性が悪くなる、ということになりますし、逆に、水が多過ぎるとコンクリートの強度や耐久性などが低下します。一般的には、セメントの質量に対して40~50%の水が用いられます。コンクリートの強度は、この水セメント比によってコントロールされます。
水中で固まるコンクリート
橋の基礎や堤防などでは、水中でコンクリートを造ることがあります。通常のコンクリートを用いると水の影響で材料が分離してしまうため、このような場合は水中コンクリートを用います。水中コンクリートは、水中不分離性混和剤を用いて粘性を高くしているため、水中でも材料が分離しにくいという特徴があります。
打設は、パイプを通してコンクリートを打設場所まで運び、先端が常に先に打設したコンクリートの中にある状態を維持して、打設を行います。コンクリートの比重は2.3程度ですから、比重1である水は、上に押し上げられていきます。こうして、材料の分離を防ぎながらコンクリートを打設することができるのです。
ただし、コンクリートの上面は常に水と接しているため、固まったあとに十分な強度を発揮することができません。そこで、後で取り除きます。
このようにして水中でもコンクリートを打設することができます。水中コンクリートがコンクリートの可能性を広げています。
【用語解説】
■コンクリートとモルタル
コンクートは、水、セメント、砂、砂利を混ぜてつくります。これに対して、水、セメントと砂だけでつくられているのがモルタルです。左官屋さんが壁の仕上げなどで塗って使います。
■セメント
セメントの原料は、石灰石と粘土、そしてけい石と鉄さいです。これらを細かく粉砕して窯の中で、高温で焼き、さらに細かく粉砕して少量の石こうを混ぜるとセメントになります。