JFEスチール株式会社、JFEスチールグループ会社のジェコス株式会社、株式会社大林組の3社は共同で、地下壁工事において、仮設土留め壁の鋼矢板と、鉄筋コンクリートを一体化させ、本設の合成地下壁を構築する「J-WALLⅡ工法」を開発。
一般財団法人国土技術研究センターから、建設技術審査証明を取得した。
都市部の再開発では、隣接する構造物や敷地など、施工時に用地面積の制約を受ける場合が多い。また、従来工法の多くは、仮設の土留め壁を構築した後に、本設の地下壁を構築するため、仮設と本設の2つの壁をそれぞれ構築する手間がかかっていた。
同社は、2008年に仮設と本設を兼用する合成地下壁構築技術「J-WALL工法」を開発。これは、仮設の土留め壁として利用したハット形鋼矢板に、頭付きスタッドを溶接し、後打ちの鉄筋コンクリートと一体化させ、本設の合成地下壁を構築する工法。
今回、3社共同で同工法の改良版「J-WALLⅡ工法」を開発。頭付きスタッドの代わりに、T形鋼および定着用鉄筋をハット形鋼矢板にあらかじめ溶接した合成構造用鋼矢板「ビートルパイル」を開発。
これにより工程を短縮、鋼矢板と鉄筋コンクリートとの接合強度を高め、壁厚縮小を可能にした。
本設と仮設に用いる鋼矢板を兼用するため、従来に比べて施工幅と地下壁幅を縮小できる。
限られた敷地内で構造物を最大限の広さに構築でき、土地を有効利用することが可能。道路や鉄道など躯体の内空寸法が決められている構造物では、用地幅の縮小も可能だ。
また、油圧圧入機による施工ができ、狭い敷地や近接での施工が可能。
本設と仮設の兼用により、工事に必要な外足場や外型枠の組み立てと解体、鉄筋組み立て、コンクリート、側壁部防水工、埋め戻しなどの工程が削減でき、工期工期短縮が可能。コストも最大10~15%程度削減できる。
地下壁は、「ビートルパイル」と後打ち鉄筋コンクリート部とを合成した一体壁構造で、高剛性、高耐力が増し、薄壁化が実現可能。また、通常の鋼矢板と同様の継ぎ手を用いるため止水性能も高い。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
JFEスチール株式会社 プレスリリース
http://www.jfe-steel.co.jp/