株式会社熊谷組は、基礎梁せいの低減を可能とする「熊谷式 基礎梁貫通孔補強工法」を開発し、構造性能評価を日本ERI株式会社より取得した。
梁せいとは、梁の上端から下端までの寸法のことで、鉄筋コンクリート造基礎梁の開孔径は、在来の工法では、梁せいが開孔径の約3倍必要だったが、新工法では、約2倍にまで低減可能とした。
鉄筋コンクリート造建築物は、設備配管などを通すためや点検のために梁に開孔と呼ばれる貫通孔を設けることが一般的に行われてる。
しかし、開孔によって構造性能が低下することから「鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説」において、開孔が円形の場合には、開孔の直径は梁せいの1/3以下とすることが望ましいとされている。
また、建築物の基礎梁には、床下の設備や配管の点検などのために人通孔が設けられることがよくあるが、この場合も上記の制限が適用されるため、土工事・躯体工事のコストアップにつながっていた。
このため、同社は開孔径の制限を緩和し、開孔径が基礎梁せいの1/2以下でも開孔が貫通可能な基礎梁貫通孔補強工法を開発。この工法を使用することにより構造性能は従来工法と同等のまま、コストダウンを図ることが可能となった。
新工法の開発に当たり同社は、上下のT形鋼と斜め補強材から構成される補強金物を新たに考案。この補強金物を開孔の周囲に埋め込み一体化させることで補強効果を上げ、その構造性能を確認するために構造実験を実施した。
結果として、使用限界時、損傷限界時、安全限界時にそれぞれの性能が確保できることを確認できた。
この工法は、建物の用途、上部構造の構造形式に関係なく、人通孔を有する鉄筋コンクリート造基礎梁に適用することが可能。今後、多くの物件に積極的に適用していく予定だ。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
株式会社熊谷組 プレスリリース
http://www.kumagaigumi.co.jp/