ヒ素由来汚染土壌を新開発の処理技術で浄化

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ヒ素由来汚染土壌を新開発の処理技術で浄化

2014年03月03日 13:00

汚染土壌の9割減容化と7割費用削減が実現

清水建設株式会社(社長 宮本洋一)は、今後、首都圏で鉄道・道路整備事業が本格化するのを前に、大量発生が危惧される自然由来のヒ素汚染土壌の処理方法として、泥水シールド式工事対応の処理技術を開発した。

この方法によれば、最大で汚染土壌の約9割を減容化、処理費用も約7割削減が見込めるという。

インフラ整備に伴う課題

ますます過密化する首都圏では鉄道・道路整備を進めるにあたり、以前にも増して地下の有効利用による開発が圧倒的多数になることが予想される。

地下整備工事では、大量に発生する掘削土砂中に含まれる自然由来のヒ素汚染土壌がこれら工事に伴う懸案事項であった。汚染土壌の受け入れ先であるセメント工場等土壌処理施設および処分場の処理能力が限界に達しつつあるためだ。

そこで同社では、掘削の段階でシールド泥水を土砂と泥水に分離する地上処理施設に浄化設備を組み込むことで、汚染土壌を浄化する技術を開発した。

これなら、浄化設備のために別途用地を確保する必要もなく、掘削進度に合わせた処理ができ、処理施設に頼らず土壌浄化を進められることが強みだ。

(画像はニュースリリースより)

インフラ整備と環境保全の両立

新技術開発にあたり、土壌を詳細に分析したところ、ヒ素が粘土・シルトのうち微細粒分のみに含まれ、さらに、微細粒になるほどヒ素濃度が高くなるという検証結果に着目。

切羽から地上処理施設に送られる泥水に、ヒ素抽出工程、分級工程、凝集沈殿処理工程という3段階の浄化処理を施した。

具体的には、ヒ素抽出工程で泥水に特殊な薬剤を添加することで、ヒ素を強制的に泥水中に抽出し土壌粒子のヒ素濃度を全体的に低減することが可能となった。

泥水中の粗粒分・細粒分はこの工程で0.01mg/lの環境基準を満たすため、粗粒分はサイクロンもしくはフルイ等で回収、細粒分は次の工程で分級装置により同じく回収され、そのまま健全土として再利用される。

残ったヒ素濃度の高い微細粒分およびヒ素を含む泥水は凝集沈殿処理を経て、さらに上澄み液が環境基準を満たした処理水に生まれ変わる。

最後に残った高濃度ヒ素を含むスラッジのみをフィルタープレスで脱水・回収し、管理型処分場へ搬出・廃棄処理されるしくみだ。

新技術導入で、これまで未分離のまま地上処理施設で一括廃棄処理された泥水は、粒径に応じた分級処理で細粒分の再利用が可能になり、処理施設へ外部搬出した廃棄部分の90%軽量化と、それに伴う70%のコスト削減も実現した。

その上、凝集沈殿処理技術で上澄み液まで再利用可能となり、資源の有効活用という意味でより一層の技術革新が進んだ。

同社は、CSR活動の一環として「地球環境に配慮する」ことを謳う責任企業の立場から、ますますインフラ整備が強化される首都圏での受注工事に、この技術をシールド工事に伴う付加価値商品として売り込む考えだ。

▼外部リンク

 

清水建設株式会社 プレスリリース
http://www.shimz.co.jp/news_release/2014/2013064.html

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