東レ株式会社(以下:東レ)は、19日、サウジアラビアのアブナヤン・ホールディング・カンパニー(以下:AHC)と、サウジアラビア・ダンマン市に水処理・排水処理技術の合弁会社「トーレ・メンブレン・ミドルイースト社(以下:TMME)」を設立する契約をしたことを発表した。
新会社TMMEは、東レの水処理子会社「トーレ・メンブレン・ヨーロッパ社(略称:TMEu)」とAHCが出資し、水処理膜の製造・販売および技術サービスを行う。総投資額は約82億円を見込んでいる。
TMMEは、サウジアラビアのダンマン第3工業区内に世界規模の「逆浸透膜(RO膜)」エレメント生産工場を新たに建設し、2015年から東レの生産技術と世界品質管理基準を適用した生産を開始する。
従来、海水を淡水化し、飲料水を製造する方法は、海水を蒸発させて塩分を取り除く蒸発法によって行われてきたが、大量のエネルギー消費による環境破壊が課題であった。一方、東レが開発した「逆浸透膜(RO膜)」による方法は、海水を蒸発させずに塩素イオンを除去でき、地球にやさしく、コストダウンにつながるというメリットがある。
TMMEの新工場建設により、世界における東レグループのRO膜エレメント生産拠点は、日本(愛媛)、米国(カリフォルニア)、中国(北京)と合わせて、世界4工場体制となる。
東レによると、世界的な水不足や、環境意識の高まりを受け、世界のRO膜市場は拡大を続けているという。中東地域だけでなく、北アフリカ地域においても、水不足対策の大規模な海水淡水化プロジェクトや下廃水のリサイクル利用の大幅な需要増加が見込まれることから、同社は、TMMEが優位に事業を展開することができるとみている。
▼外部リンク
アブナヤン・ホールディングと東レが合弁事業に調印
http://www.toray.co.jp/news/water/nr140219.html