2017年11月17日、大成建設株式会社は、2015年に同社が独自に発見した1,4-ジオキサン分解菌(以下、同分解菌)を用いて、排水中の1,4-ジオキサン(以下、同物質)を排水基準以下まで安定的に処理するプロセス(以下、同プロセス)の構築に成功したと発表した。
同物質は、主に化学工場の排水に含まれている有害物質で、人の健康に係る被害を生ずる恐れがあるとして、2012年に排水基準の規制対象に追加された。
しかしながら、活性汚泥法や活性炭吸着法などの一般的な排水処理法で同物質を分解することが困難であるため、複数の酸化剤を併用する促進酸化法などで処理を行ってきたが、コストがかかり環境への影響が大きいといった課題があった。
同社が発見した同分解菌は、現在、認知されている分解菌の中では最も分解速度が速く、分解可能な濃度の範囲が非常に広い。
このため、同プロセスは、同物質の濃度が数mg/Lから数百mg/Lまでの幅広い工場排水に対応して、24時間以内に排水基準値0.5mg/L以下まで処理でき、促進酸化法と比べて、処理に伴うLCCO2(ライフサイクルでのCO2排出量)で50%・ランニングコストで50〜75%の削減が見込まれる。
また、同分解菌は、同物質の外に、環状エーテル類など難分解性の化学物質も分解できるため、有機物による水質汚濁の指標である化学的酸素要求量(COD)も大幅に低減できる。
なお、稼働中の工場排水を用いて、同プロセスによる性能の長期検証を行っており、2018年度中を目標に実用化する予定だ。
(画像はプレスリリースより)
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大成建設 プレスリリース
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