鹿島建設株式会社は11月24日、三和石産株式会社、東海大学笠井哲郎教授と共同で、戻りコンクリート由来のスラッジ再生セメント「Cem R3」(セムアールスリー)とコンクリート「エコクリートR3」を開発した、と発表した。
研究開発は、課題名「スラッジ再生セメントと産業副産物混和材を併用したクリンカーフリーコンクリートによる鉄筋コンクリート部材の開発研究」で、環境省の環境研究総合推進費による研究助成を受け、継続中。
建設関連産業は、廃棄物を全国総量の20%以上排出している。特に解体コンクリート塊が最も多く年間3,200万tにもなる。解体コンクリート塊の主なものが、戻りコンクリート(戻りコン)で、生コン出荷量全体の約1.6%とされ、ほとんどは産業廃棄物として処理されいる。
首都圏などでは、戻りコンの引き取りを有料化する、などの対策が出されている。戻りコンを減量し再生することで、環境負荷を低減することが大きな課題である。
鹿島など3者は、全国で年間約400万tといわれる戻りコンを再利用したセメントを製造する画期的なコンクリート製造技術を開発し、資源循環を実現した。
Cem R3は、戻りコンの排水に含まれる固形分スラッジを、再利用時の強度に影響を与えない水和反応を抑制する新たな添加剤を加えて脱水処理し、特殊な分級、乾燥、粉砕処理を行い製造した再生コンクリート。
エコクリートR3は、高炉スラグ微粉末やフライアッシュなどの副産物混和材に、Cem R3を主たる結合材として使用して製造したコンクリート。
開発した技術は、内閣府の平成28年度第14回産学官連携功労者表彰において、環境大臣賞を受賞した。
鹿島は、今回開発したセメントを「エコクリート」シリーズとして、さらに環境負荷低減に向けたコンクリート製造の開発を継続して行っている。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
鹿島建設株式会社のプレスリリース
http://www.kajima.co.jp/news/press/201611/24a1-j.htm