タイル
タイルとは、粘土を主原料とする平板状の焼成品を指す。建築物の仕上げ材として、内外の床や壁に保護、あるいは装飾に用いる。セラミックタイルともいわれる。
タイルは、その素材や用途、成形方法、大きさなどによって以下のような様々な名称に呼び分けられる。
■素材による分類
タイルは、現在では素材の吸水率によって主に3種類に分けられている。
以前は、タイルの性質や焼く際の温度によって「磁器質タイル」「せっ器質タイル」「陶器質タイル」と呼び分けられていたが、2008年以降は、吸水率のみによってI類、II類、III類と区分されるようになった。
※素地(そじ・きじ)・・・砂・石・粘土などの原料を粉砕して混ぜ合わせた、タイルの原料。
・I類タイル
吸水率が3%以下の素地から作られたタイル。
耐久性に優れているため、外装用のタイルとしてよく用いられる。
・II類タイル
吸水率が10%以下の素地から作られたタイル。
透明性がなく黄土色や茶色などの色みを持つものが多い。I類と同程度の強度を持つため、外装用として用いられることが多い。
・III類タイル
吸水率が50%以下の素地から作られたタイル。
吸水性が高く、強度が低いため、水気の多い場所や外装用には向かない。
デザイン性が高いため、釉薬を施し、内装用として使用されることが多い。
■用途による分類
タイルは、使用場所によって以下の4種類に区分される。
・内装タイル
主に建物の内壁やキッチン、バス、トイレなどの水周りに用いられるタイル。
釉薬の施されたタイルが使用されることが多い。
・外装タイル
建物の外壁や垣根などに用いられるタイル。
高強度で吸水率が低い磁器質タイル、せっ器質タイルが主に使われる。
・床タイル
バスやトイレの床に用いられるタイル。
耐磨耗性に優れている磁器質タイル、せっ器質タイルが主に使われる。
・モザイクタイル
建物内外部の壁や床に用いられるタイル。
大きさは平物1枚の表面積が50Cm2以下と小さいため、色の組み合わせでデザインが可能。通常は、台紙張りされたユニットタイルとして使われる。
■成形方法による分類
タイルは、成形方法によって以下の2種類に区分される。
・乾式成形タイル
プレス機を使って、粉状の原料を高い圧力で成形したタイル。
・湿式成形タイル
原料を機械で練り合わせ、押し出して成形したタイル。
■釉薬の有無による分類
タイルは、釉薬がかかっているかいないかで、以下の2種類に分けられる。
※釉薬…焼き物の表面を覆う液体。
・釉薬タイル
素地に釉薬をかけて焼成したタイル。
表面に美しさが出て、水やよごれを防ぐ効果がある。
・無釉タイル
釉薬がかかっていないタイル。粘土そのものの持つ温もりや落ち着いた雰囲気がある。タイルの中も同じ色のため、タイルの欠けができても目立ちにくい。
■タイルの大きさによる分類
タイルは、大きさによって、主に以下の10種類に分けられる。
※単位:mm
・小口平タイル
大きさが108×60のタイル。
・二丁掛けタイル
大きさが227×60のタイル。
・三丁掛けタイル
大きさが227×90のタイル。
・四丁掛けタイル
大きさが227×120のタイル。
・ニュー小口
大きさが94×54のタイル。
・ボーダータイル
大きさが227×40のタイル。
・100角
大きさが94×94のタイル。
・150角
大きさが144×144のタイル。
・200角
大きさが194×194のタイル。
・300角
大きさが294×294のタイル。
■タイルの施工方法による分類
タイルは、施工方法によって、主に以下の2種類に分けられる。
・湿式工法
現場で水、モルタル、土壁などを用いる方法。現場作業なので、天候に左右されたり、養生期間を要したりする。時間と手間はかかるが、素材の種類などでいろんな質感を選ぶことができる。
湿式工法には主に3種類ある。
・団子張り工法…タイルの裏面に貼り付け用のモルタルを団子状にのせ、下地に押し付けるように固定する工法。
・圧着張り工法…下地に貼り付け用モルタルを塗り、その上にタイルをもみ込むように貼る工法。
・ユニット張り工法…モザイクタイルなどの小さなタイルを予め300mm角のシートに貼っておく(ユニットタイル)。その裏側にモルタルに塗り付けるためのマスクをかぶせた後、貼り付け用のモルタルを塗り、マスクをはずしてタイルを貼る工法。マスク工法ともいう。
・乾式工法
工場で生産されたパネルや合板などを現場で固定する方法。養生させる必要がないので、天候に左右されず、工期を短くすることができる。
乾式工法には主に2種類ある。
・接着張り工法…樹脂などの有機質接着剤でタイルを下地に張り付ける工法。
・引掛け工法…凹凸がつけられた専用の下地材や特殊な金具に、タイルを引っ掛けながら接着剤を使って張っていく工法。
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