建設業界を支える人材の確保に向けて~担い手3法の改正~ | 建設・設備求人データベース

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建設業界を支える人材の確保に向けて~担い手3法の改正~

2016年07月27日

建設業界の最大課題である担い手の確保・育成に向けて、品確法、入契法、建設業法の改正が行われました。

 

担い手確保の重要性

東日本大震災の復興事業や防災・減災、老朽化対策、耐震化、インフラの維持管理など、建設業界の役割はますます増大しています。

 

しかし、これまで建設業界を取り巻く環境は悪化を続けていたため、建設業界の魅力の低下、従業者の労働環境低下を招きました。その結果、現場の技能労働者の高齢化や若者の減少といった問題が生じています(図表-1)。

 

図表-1 若手比率の低下、高齢化の進行a       出典:国土交通省「平成27年 国土交通白書

 

この建設工事の担い手不足は、将来的な建設工事の品質低下につながることが懸念されています。建設構造物の維持管理・更新工事の増加も予想されており、建設技能労働者の確保が重要な課題となっています。

 

品確法、入契法、建設業法の改正

将来にわたって建設工事の品質を確保するためには、①労働環境を改善して担い手を確保・育成することが必要であり、そのためには、②建設会社が適切な利潤を確保することが欠かせません。

 

そこで、「担い手の確保」を新たな目的に据え、品確法とそれと関連する入契法、建設業法がセットで平成26 年6 月に改正されたのです(図表-2)。

 

図表-2 品確法と建設業法・入契法等の一体的改正a       出典:国土交通省「品確法と建設業法・入契法等の一体的改正について

 

品確法とは、「公共工事の品質確保の促進に関する法律」です。公共工事の品質を確保するための基本理念や発注者・受注者の責務を明確化し、品質確保の促進策を規定しています。

 

入契法とは、「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」で、公共工事の発注者・受注者が、入札契約適正化のために講ずべき基本的・具体的な措置を規定しています。

 

建設業法は、建設業の許可や欠格要件、建設業者としての責務等を規定しています。

 

運用指針の策定

今回の法律改正の趣旨を徹底するために公共発注者のための運用指針が定められました(図表-3)。

 

図表-3 「発注関係事務の運用に関する指針(運用指針)」の主なポイントa       出典:国土交通省「発注関係事務の運用に関する指針(運用指針)」の主なポイント

 

運用指針では、発注者が「調査及び設計」、「工事発注準備」、「入札契約」、「工事施工」、「完成後」の各段階で取り組むべき事項が具体的にまとめられています。

 

(1)予定価格の適正な設定
予定価格の設定に当たっては、適正な利潤を確保することができるよう、市場における労務及び資材等の取引価格、施工の実態等を的確に反映した積算を行います。積算に当たっては、適正な工期を前提とし、最新の積算基準を適用します。

 

(2)低入札価格調査基準又は最低制限価格の設定・活用の徹底等
ダンピング受注を防止するため、低入札価格調査制度又は最低制限価格制度の適切な活用を徹底します。予定価格は、原則として事後公表とします。

 

(3)適切な設計変更
施工条件と実際の工事現場の状態が一致しない等の場合、適切に設計図書の変更及びこれに伴って必要となる請負代金の額や工期の適切な変更を行います。

 

(4)発注や施工時期の平準化
債務負担行為の積極的な活用や年度当初からの予算執行の徹底など予算執行上の工夫や、余裕期間の設定といった契約上の工夫等を行うとともに、週休2日の確保等による不稼働日等を踏まえた適切な工期を設定の上、発注・施工時期等の平準化を図ります。

 

このような対策により、建設業界の労働環境が改善され、業界の将来を支える人材確保・育成につながることが期待されています。

 

【用語解説】

●運用指針
「発注関係事務の運用に関する指針(運用指針)」(27年1月策定)

 

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