建設現場を工場のように~生産性向上への取り組み~ | 建設・設備求人データベース

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建設現場を工場のように~生産性向上への取り組み~

2016年05月31日

国土交通省は、平成28年を建設現場の生産性革命元年と位置づけ、総力を挙げ生産性の向上に取り組んでいます。

 

建設業の生産性

1990年代以降、製造業の生産性は上昇を続けましたが、建設業の生産性は低位で安定していました(図表-1)。

 

図表-1 建設業の生産性       出典:一般社団法人日本建設業連合会「建設業ハンドブック2015

 

工事単価の下落に加え、建設労働者の減少以上に建設投資が減少したことによって労働力過剰が続いたことが要因です。労働力が過剰であったため、建設現場の生産性向上がそれほど重視されなかったのです。

 

しかし、現在、建設現場で働いている建設技能労働者約340万人のうち、約1/3にあたる約110万人が今後10年間で高齢化により離職すると予想されています。

 

建設業への新卒入職者も増えつつありますが、10年間で110万人の離職者を補うには足りません。つまり、10年後には、現在と同水準の生産性では建設現場は成り立たなくなるのです。そこで、建設現場の生産性改革「i-Construction」が打ち出されました。

 

i-Constructionとは

i-Constructionとは、調査・測量から設計、施工、検査、維持管理・更新までのすべての建設生産プロセスで抜本的に生産性を向上させる取り組みです。この施策の柱は次の3点です(図表-2)。

 

図表-2 i-constructionとは       出典:国土交通省「i-Construction

 

(1)建設現場を最先端の工場へ
あらゆる建設生産プロセスに3次元データを活用し、施工・検査の自動化・ロボット化により生産性を向上させます。製造業で進められてきたように、IoTを導入して、設計データと建設機械をつなぎます。そして、設計や施工など関係する人材が協調して諸問題を討議しながら作業に当たります。

 

また、設計段階で施工手順の問題確認も早めに行います。さらに、設計・施工段階から、点検・診断のコスト縮減、修繕工事の工期短縮等の維持管理を含めた最適化が図られるよう配慮していきます。こうすることで、生産性を大きく高めることができます。

 

(2)建設現場へのサプライチェーンマネジメント導入
建設現場は一品受注生産が基本であり、資材発注後、仕様の確認、製作という手順を経るため納期に時間がかかるという問題がありました。

 

そこで部材規格の標準化やプレキャスト化、プレハブ化により、資材調達、部材製作、運搬、部材組立等の各工程を短縮します。サプライチェーンマネジメントの考え方を導入することで待ち時間などのロスを少なくし、建設生産システム全体の効率化、生産性向上を図るのです。

 

(3)規制の打破と継続的な改善
公共工事は4~6月に工事量が少なく、年度末に工事が集中するという問題が長く指摘されてきました。2014年度でも、月毎の出来高工事量の最大値と最小値の比は約1.8倍と大きな偏りがあります(図表-3)。

 

図表-3 施工時期の平準化       出典:国土交通省「i-Construction

 

効率的な業務を行うためには施工時期を平準化し、年間を通して工事量を安定化することが不可欠です。また、無理に年度内に工事を終わらせるのではなく、工期を十分に取ることも必要です。

 

このような業界の慣習を改善することで生産性を向上させることができます。最新の技術を考慮していない従来の基準や規制、既成概念の打破にも取り組んでいます。

 

生産性革命の目指すもの

これらの生産性改革は、建設現場の生産性を向上させることだけが目的ではありません。生産性向上によって、建設業に関わる人たちが、より創造的な業務を行うことができ、賃金水準が上がり、労働条件が向上し、安全性が向上する、そして明るい建設業の未来を築くことが大きな目的なのです。

 

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