生活を大きく変える道路の効果 ~都心の渋滞と環境改善につながる圏央道の建設~
2015年10月28日
道路の整備は、経済の発展、国民生活の質や安全の向上にも大きく貢献してきました。
国内の道路の総延長は120万kmに達しています。
道路の種類
道路の種類には、高速自動車国道、一般国道、都道府県道、市町村道の四つがあります(図表-1,2)。
出典:国土交通省「道路の種類」
出典:国土交通省「道路の種類」
また、機能上の区分としては、高規格幹線道路、地域高規格道路、一般道路の区分があります。
高規格幹線道路は、概ね80km/h以上で走行することが可能な道路で、全国的な交通網を構成しています。
高速自動車国道と一般国道の自動車専用道路があります。
一方、地域高規格道路は、地域相互の交流や空港・港湾等への交通を強化する道路です。
高規格幹線道路を補完する役割もあります。
自動車専用道路もしくはこれと同等に走行しやすい構造になっており、概ね60km/h以上で走行することが可能です。
これら以外に、道路法が適用されない林道、農道、私道などもあります。
道路法と道路構造令
道路法は、道路網の整備を図るために、路線の指定及び認定、管理、構造、保全などに関する事項を定めたものです。
また、道路構造令は、道路構造の技術基準を定めた政令です。
幅員、建築限界、線形、視距、こう配、路面、排水施設、交差または接続、待避所、横断歩道などが規定されています。
道路の効果
道路の整備は、渋滞削減や時間短縮などの一般的な交通機能だけでなく、地域振興や観光利便性向上にもつながります。
このような道路の計画は、都市計画と一体で整備されます。
なぜなら、道路整備は、緑化や通風、延焼防止や避難路、沿道建物の採光などの空間としての役目、さらに水道・ガス・電気などライフラインや地下鉄の埋設など都市形成に係わる多様な機能も持っているからです。
圏央道の建設
首都圏では、都心部の渋滞を解消するため、環状方向の整備が急速に進められています。
平成27年6月7日には、圏央道の神崎IC~大栄JCT間(延長9.7km)が開通しました。
圏央道(首都圏中央連絡自動車道)は、都心から半径およそ40km~60kmに位置する延長約300kmの高規格幹線道路(一般国道の自動車専用道路)です。
東京湾アクアラインと一体となって横浜、厚木、八王子、川越、つくば、成田、木更津などの都市を連絡します。
主要幹線道路と接続することで、首都圏の広域的な道路のネットワークが形成されます。
現在圏央道は、全体の約8割が完成しています。
圏央道建設の経緯
1963年に首都圏の道路交通の骨格として、3環状9放射の高速道路網が計画されました。
その後、東名、中央、関越、東北道など放射方向の高速道路は整備されましたが、環状方向の整備が遅れたため、通過車両が都心の中央環状線に入り込み慢性的な渋滞が発生していました(図表-3)。
出典:国土交通省「東京を変える道路・首都圏を変える道路」
これを解決するのが圏央道です。
圏央道の開通によって郊外で放射状の高速道路がつながるため、都心を通過するだけの交通がなくなります。
すでに、渋滞解消と時間短縮の効果が表れています。
道路交通の円滑化は、交通事故の防止、環境改善、災害時の連絡強化などの効果も期待されています。