首都高速道路の大規模更新 ~費用負担の課題~ | 建設・設備求人データベース

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首都高速道路の大規模更新 ~費用負担の課題~

2015年05月08日

首都高速道路では、老朽化によるコンクリートのひび割れや鋼構造物の腐食・疲労亀裂など、過酷な使用状況による損傷が大きな問題となっています。

 

首都高速道路の老朽化

我が国の高速道路は、昭和37 年12 月 に首都高1号線(京橋~芝浦間)、同38 年7月に名神高速道路が開通しました。

 

現在、首都高速道路の総延長は301.3kmに達し、供用から40年以上経過した道路が約3割、30年以上が約5割を占める状況です。
10年後には約3割の道路が供用から50年を経過することになります。(図表-1)

 

図表1高速道路開通からの経過       出典:参議院国土交通委員会「検討が求められる高速道路の大規模更新の在り方

 

定期的な点検・修繕作業が行われていますが、点検によって発見された損傷のうち、修繕済みの件数を差し引いた要修繕損傷件数は増加の一途をたどっています。

 

要修繕損傷件数は、2002年には3.5万件でしたが、2013年には10万件を超えるまでになっています。
経過年数40 年以上となる都心環状線では約9,000 件と全体の1割を占めています。
これは、1km当たり約600 件に当たります。

 

首都高速道路の問題点

高架道路を見上げる男性
高速道路特有の問題点としてメンテナンスが重要な橋梁やトンネルなどの比率が高いことがあります。

 

一般の高速自動車国道では、その比率は約25%ですが、首都高速道路は道路や河川の上や下を走ることが多いため約9割と非常に高い比率となっています。

 

首都高速道路が建設されたのは、昭和39年の東京オリンピック開催を前にした時期で、建設が急務でした。
用地買収が必要のない道路や河川等の公共用地を極力活用したため、維持管理が難しい箇所が多くあります。
たとえば、1号羽田線の東品川桟橋では桁下と海水面が近接しているため、一日のうち2、3時間しか点検・修繕ができません。干満により海水面が上下するためです。

 

さらに、当時の構造基準で建設されているため、維持管理が適切にできている箇所でも、現在想定される巨大地震時には問題が発生する危険が指摘されています。

 

その他、利用する側の問題点もあります。
首都高速道路は大型車の交通量が都内道路の約5倍、一般国道の約18 倍となっています。

 

過積載等の軸重量違反車両も数十万台あると報告されています。
軸重15t、20tの大型車が1台走るとそのダメージは乗用車の100台分、1000台分に匹敵します。
大型車の大量通行も道路の劣化損傷を助長しているのです。

 

大規模更新の必要性と計画

大規模な更新が必要なのは、このように修繕自体が困難な箇所があることと、修繕だけでは対応できない部分があるためです。
劣化が激しい箇所については、部分的な補修を繰り返しても、長期的には発揮される性能が低下し、いずれ所要の性能を発揮できなくなるおそれがあります。

 

機能の維持と性能の強化を図るために、あるいは新たな損傷の発生を抑制し構造物の長寿命化を図るために、大規模な更新・修繕工事を行うことが必要なのです。(図表-2)

 

図表2首都高速道路の大規模更       出典:首都高速道路株式会社「都道首都高速1号線等に関する維持、修繕その他の管理の報告書

 

 

大規模更新の費用

橋梁の架け替えや床版の取替えなどの大規模更新が必要なのは約8km、現状の構造を維持したまま必要な部分を作り替える大規模修繕は約55kmが計画されています(図表-3)。

 

図表3首都高速道路の大規模更       出典:参議院国土交通委員会「検討が求められる高速道路の大規模更新の在り方

 

そして、この更新・修繕等の事業費は合計9,000億円規模と試算されています。
現在でも首都高速道路の補修費は年間200~300億円かかっていますが、それとは桁違いの金額です。
費用をどのようにまかなうのかが大きな課題となっています。
工事中の交通への影響も心配されています。

 

新たな首都高速道路へ

首都高速道路は、現在も急カーブでの交通事故や都心ジャンクション合流における渋滞の発生など機能的にも大きな課題を抱えています。
大規模更新ではこのような課題も同時に解決することが求められています。

 

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