今月9日、国土交通省は産学官による「第2回 ICT導入協議会」を開催。建設生産プロセスにおいてのICT(情報通信技術)を全面的に活用する「ICT活用施工」。それに対応できる技術者・技能労働者の育成に本格的に乗り出した。
ICTの全面的な活用は、国土交通省が打ち出した建設現場の生産性向上方策「i-Construction(アイ・コンストラクション)」の主軸の一つで、平成27年12月に第1回目が開催され、4月11日には「i-Construction委員会」の報告書が公表された。
アイ・コンストラクションのトップランナー施策に「ICT土工」が位置付けられており、16年度から土工事の全プロセスにICTを導入する。それに伴い国土交通省は、調査・測量、設計及び施工、検査における15の新基準を作成、さらにICT建機の普及推進のため、ICT建機のリース料を含む新積算基準を整備した。
研修の具体的な内容は、建設生産プロセスを全般、測量・設計、施工、工事監督・検査と4つに分類し、それぞれに応じた研修項目を設定する。全般の研修は、アイ・コンストラクション施策などの座学講座。測量・設計はドローン(UAV)による公共測量などの新基準に沿った講習、UAV測量の精度・安全管理に関する講習の2講座。
施工は出来形管理資料作成の実演などを行う座学と、室内実習・実地研修で構成する実践的カリキュラムを盛り込んだ2講座。さらに、3次元設計データの作成や出来形計測の実演なども行う。工事監督・検査は講習と実地研修で、ICT施工に伴う監督・検査要領の説明や、実地検査方法の体験などが盛り込まれる。
すでに日本建設機械施工協会(ICMA)は、アイ・コンストラクションの推進に向けた体制整備として、新たに「i-Construction施行」による生産性向上推進本部を設置。
さらに、制度や基準に関する提案・提言を行う「ICT活用戦略ワーキンググループ」と、講習会でのカリキュラムを検討する「i-Construction普及ワーキンググループ」の2つのワーキンググループを立ち上げた。
今後も、企業の設備投資や再開発、インフラ整備などに不可欠な建設業界。そのためICT土工に対応できる技術者・技能労働者の拡大は喫緊の課題となる。なお研修の開催は、地方整備局単位で実施。実務を伴うものは、日本建設機械施工協会が作成する統一的なカリキュラムによって、業界団体主催での実施となる見込み。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
国土交通省 プレスリリース
http://www.mlit.go.jp/common/001130210.pdf