清水建設は19日、建物の自然換気性能を評価する3次元シミュレーションシステムの「VisualNETS-3D」を開発し、実用化に踏み切ったと発表した。
このシステムは省エネルギーに対する社会的な関心が高まるなか、エネルギーを用いずに外気を取り入れる自然換気を活用し、空調計画を整えることに寄与するもの。同社によれば、システムを活用することで空調に必要なエネルギーは最大20%程度削減することが可能であるという。
清水建設によれば、従来は建物の自然換気性能を評価する場合、建物の空間全体を捉えた評価が困難であるほか、特定の断面でのみしか評価結果を可視化できないという課題が残されていた。
そこで今回同社が開発した「VisualNETS-3D」では、まずBIM(Building Information Modeling)データを利用して建物の3次元形状を読み込んだのち、各部屋の形状や窓・換気開口の形状をはじめ、換気開口や空調・換気設備の稼働スケジュールなど多岐にわたる条件を入力することで、解析用の3次元モデルを構築。建築物の実態に即した3次元でのシミュレーションを可能とした。
これら3次元モデルの構築からシミュレーションまでは約3時間で行うことが可能であるほか、自然換気に影響を与える気温、日射量、風向き、風速の変化といった諸条件は、アメダスなどの気象データをもとに随時反映される仕様となっている。
清水建設は今後、全国の設計部門で「VisualNETS-3D」を展開。空調は建物のエネルギー消費を大きく左右することから、同社では今後のZEB(Zero Energy Building)推進へ向けた動きなども踏まえ、建物の省エネ性能・自然エネルギー利用の向上に努めていく構えだ。
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清水建設 ニュースリリース
http://www.shimz.co.jp/news_release/2016/2015061.html