大林組は27日、プレキャストコンクリート板(PCa板)をメタル調の仕上がりとする際の新技術「エココート工法」を開発したと発表した。
この「エココート工法」は、主成分に水系のポリエチレン樹脂系エマルションを採用し、これに厚塗り可能な下塗り材と、新開発のプライマーを組み合わせたもの。
ポリエチレン樹脂系エマルションを塗装材料に使用するのは、今回が業界初のケースだ。また水系の材料を用いた工法であるため、高含水率のPCa板に対する高い付着力が期待できる。
大林組によると、建物の外装で高い人気を誇るのがメタル製の外壁カーテンウォール(アルミパネル)。しかしコストが割高となるため、より低コストのPCa板をメタル調に見せる仕上げが求められてきたという。
一方、PCa板は含水率が高く塗装の乾燥に時間がかかるという特徴があり、塗装の際塗膜が膨れる、乾燥に要する時間で工期に遅れが出る、といった点が課題となっていた。
そこで>大林組は今回の「エココート工法」において、PCa板に対する付着力を追求。塗膜の膨れや微細なひび割れに強い仕上げを可能とした。
また、これまで用いられてきた溶剤系塗装材料が苦手としていた平滑な仕上げも可能になったほか、溶剤系塗装材料が排出していたVOC(Volatile Organic Compounds、揮発性有機化合物)が抑えられるため環境にも優しいなど、従来の工法と比較してもメリットが見られるものとなっている。
加えて費用の面でも、「エココート工法」でメタル調の外壁を仕上げる場合、アルミパネルを使用する場合と比べ、1平方メートル当たりで約15%のコスト削減が可能だ。
大林組では、既にこの「エココート工法」を東京都港区の「oak omotesando」や、大阪府大阪市の「KDDI大阪第2ビル」の外壁で採用済みだ。同社では意匠性と品質の高さを売りとし、今後も事務所ビルや商業施設、高層集合住宅などの施工で「エココート工法」の提案を進めていく方針だとしている。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
大林組 プレスリリース
http://www.obayashi.co.jp/press/20160127_1