日立造船は15日、中国・遼寧省で実施していた、高速繊維ろ過装置「まりも(R)」の実証実験を完了したと発表した。
実証試験が行われていたのは、遼寧省撫順市の撫順三宝屯下水処理場。同処理場では生物処理に関して回分式活性汚泥法およびA2O法を採用しており、一日当たりの処理能力はそれぞれ20万トンだ。
実験においてはこの両方式の高度処理施設内に、ポリエステルを特殊加工した繊維ろ材を用いた「まりも(R)」を設置。2014年11月から2015年10月の約一年間下水を処理し、一般的な砂ろ過技術との比較を行った。
結果として、「まりも(R)」はろ過速度が40m/時の条件下においても、浮遊物質(Suspended Solids、SS)の捕捉量やろ過抵抗、ろ過継続時間等の面で優れていることを確認。これを受けて行われた瀋陽建築大学での最終報告会においても、SSが10mg/Lという中国の一級A水質基準を達成可能であり、中国の下水高度処理に適用できることが認められたという。
日立造船では現在、海外事業比率を50%以上に引き上げるとの目標を設定。この目標のもと、今回の実証実験は中国の下水処理施設でも同社の技術が有用であることを示し、中国の下水処理市場における競争力強化へつなげるためのものだ。
中国は「五カ年計画」のもと下水道整備など水環境の向上に取り組んでおり、地方における下水処理施設の整備、ならびに下水処理施設の高度処理化を推進している。
こうした状況下において、同社は今後中国をはじめとする海外の水処理市場へ向け、今回の「まりも(R)」や中国ですでに受注実績のある機械式曝気・撹拌装置の「ドラフトチューブエアレーター」等を展開していく考えだ。
(画像は新着情報より)
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日立造船 新着情報
http://www.hitachizosen.co.jp/news/2015/12/001938.html