大成建設株式会社は、床衝撃音や固体伝搬音を大幅に低減できる乾式二重床「T-Silent GranFloor」を開発した。
コンクリートは一般的に高い遮音性能を有する反面、床衝撃音や、設備機器の振動による固体伝搬音が騒音となる問題があった。
騒音を低減させるために、コンクリート床スラブの厚みを大きくすると、集合住宅で多用されている乾式二重床の場合、仕上げ材による騒音の対策では部材が厚くなり、室内の天井高さを狭めてしまうという課題があった。
そこで同社は、乾式二重床とコンクリート床スラブとの間に、袋に入った粒状体を内挿することで、コンクリートに伝わる振動を抑制し、床衝撃音や固体伝搬音を大幅に低減する乾式二重床「T-Silent GranFloor」を開発。集合住宅などで実証実験を行い、その効果を検証している。
従来の対策では、床の厚みを230ミリメートルから330ミリメートルまで増やしても、騒音低減は6デシベル程度だったが、粒状体の入った袋を設置することで、騒音を5デシベルから10デシベルまで低減。大きな低減効果と床スラブの軽量化が図れるようになった。
また、粒状体と粒状体を包む特殊な袋材が、振動を抑制する「チューンド・マス・ダンパー」として機能するため、低減したい振動に対応したチューニングが可能。床衝撃音や様々な振動源から発生する固体伝搬音を効率的に低減できる。
さらに、施工は乾式二重床の施工前に粒状体袋を設置するのみ。粒状体の質量は、コンクリート床スラブの約10パーセントと軽量で簡単な施工が可能。
従来の乾式二重床に遮音シートを用いた場合に比べ、材料費・施工費合わせて10パーセントのコスト低減を見込める。
建物規模によっては、スラブ厚を抑制することは、施工時のコンクリート量を低減できるため、建物全体の低コスト化にも貢献する。
コンクリート躯体の施工後に、さらに床衝撃音や固体伝搬音の低減性能を向上させたい場合は、粒状体袋を設置するだけで対応可能。乾式二重床とコンクリート床スラブとの間の空間を使用するため、床仕上げ材や天井高の変更が不要だ。
同社は、これを機にこれまでに開発した床衝撃音や固体伝搬音などの騒音低減技術を「T-Silent」としてシリーズ化。
ラインナップは、床仕上げ材による低減、コンクリート床と粒状体による低減、天井と粒状体による低減、床仕上げ材と粒状体による低減の4つ。建物の条件に合わせ、最適な技術の選択や組み合わせて騒音対策を行う。
今後、集合住宅や地下鉄軌道近接建物等にこれらの技術の適用を図り、新たな騒音対策として展開していく予定だ。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
大成建設 プレスリリース
http://www.taisei.co.jp/about_us/release/2015/1445844536723.html