建設業界の人手不足が深刻だ。ヒューマンホールディングスの子会社で、人材紹介などを行っているヒューマンタッチが今月公表した建設業に関する人材情報をまとめた資料によれば、建設業界の就業者数は2002年の618万人から減少を続け、2013年には501万人と117万人も減少しており、想像以上に深刻な人手不足の状況にあることが分かった。
人手不足が特に深刻なのは建築・土木の専門職だ。建築・土木・測量技術者の9月の有効求人倍率を見てみると約4倍、建設・採掘の作業の有効求人倍率は約3倍となっており、前年同月と比でも2業種とも上昇傾向が続いている。
同資料には2000年~2012年の元請完成工事高の推移についても触れており、2000年は70.5兆円、2009年は45.5兆円まで落ち込んだが、2012年には47.1兆円とやや上昇し、建設業の景況は回復の兆しにあると分析している。
また、工事を種類別に記したグラフから、新設工事数は横ばいであるが、道路や橋などの社会インフラや住宅の老朽化などにより、維持・修繕工事が増加傾向にあることが示されており、これらが建設業の景況回復に影響を与えていることも分かった。
2020年に開催予定の東京オリンピックにより、建設需要は2018年~2019年にピークを迎えると予想されているが、これまで以上に人材が不足することは明らかだ。そこで期待されるのが女性の登用だ。
国土交通省と建設業界は今夏、建設現場で働く女性の倍増を目指す行動計画(アクションプラン)まとめ、現在約10万人いる女性の数を4年以内に2倍に増やす意向を示している。
『キツイ、汚い、危険』のいわゆる3K仕事の代表格として紹介されることも多かった建設現場には今、土木系女子「ドボジョ」や女性技術者「ケンジョ」と呼ばれる人々が増えており、国交省ではこれらの動きを後押しするため、今回のアクションプランを定め、女性の技術者を配置することを条件とした公共工事のモデル事業を今年度から全国で実施するとしている。
アクションプランでは女性職員のための更衣室を設置することや、産休や育休から円滑に職場復帰できるよう、業界団体が講習会を開くなど、建設業を志す女性に長く働いてもらえる環境を整えることを挙げている。
▼外部リンク
ヒューマンタッチ
http://human-touch.jp/