今月11日、国土交通省と林野庁はCLT(直交集成板)の普及に向けたロードマップを公表した。まず、CLTの本格的な普及を促進するためには、第1に建築基準(基準強度・設計法)の整備、第2に実証的な建築事例の積み重ね、第3にCLTの生産体制の構築、といった施策を総合的に推進することが必要である。
さらに林野庁と国土交通省は、こうした施策を計画的に進めるとともに、その具体的内容とスケジュールについて供給側や需要側などに対して幅広く周知し、関係者の取り組みを促進するために、「CLTの普及に向けたロードマップ」を取りまとめた。
CLTとは、Cross Laminated Timber(クロス・ラミネイティド・ティンバー)の略で、欧州で開発された工法である。 CLTは板の層を各層で互いに直交するように積層接着した厚型パネル。
直交積層構造により欠点が分散されるため、節等の多い比較的低質な材を利用できる。また厚みや幅があるため、高い断熱性、遮音性、耐火性や強度が期待できる。
我が国では、平成25年12月20日に日本農林規格(JAS)として、直交集成板の名称により制定され、平成26年1月19日に施行。既に欧米を中心に中高層建築物等に利用されており、我が国においても、スギ等のCLTの普及により地域材需要の飛躍的な拡大が期待される。
林野庁は、CLT工法に大きな期待を寄せている。その要因のひとつは、優れた耐震性である。例えば、同じ大きさのPC(プレキャストコンクリート)パネルを比較すると、4分の1程度の重量になるため建物自体が軽量となり、地震の軽減につながる。
さらに、国土技術政策総合研究所で行われた「国産スギCLTパネル構造」の実験では、十分な耐震安全性を有していることが示された。
ふたつめは製材用には不向きである曲がり材など、合板用として活用されるB材などから製材された板が活用でき、森林資源の価値を高めることができるということ。以上の観点から、国土交通省との連携により、平成28年度までのロードマップが仕上がった。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
国土交通省 CLTの普及に向けたロードマップ
http://www.mlit.go.jp/common/001060153.pdf
林野庁 新たな木材製品に関するレポート
http://www.rinya.maff.go.jp/j/rinsei/singikai/pdf/1307192.pdf