住友化学は、10月3日、PID現象を抑制する特性と、高い透明性を併せ持つ、これまでにない太陽電池封止シート用EVA(エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂)「スミテート」の新規グレードを開発したことを発表した。
PID現象とは、太陽電池を高電圧下で長期間使用した場合に、パネルの中をイオンが移動することによって劣化が生じ、出力が大幅に低下する現象。
その対策として太陽電池封止シート用EVAの酢酸ビニル濃度を低下させる方法が用いられてきたが、封止シート自体の透明性の低下も発電効率の低下につながっていることが問題視されていたという。
(画像はホームページより)
「スミテート」新規グレードは、同社独自技術を用いることで、PID現象の原因である封止シート中のイオン移動抑制に成功。
電圧1,000V、温度60℃、湿度85%、パネルガラス表面に水を張った過酷な条件での96時間の促進試験を実施し、発電量の低下率を計測したところ、従来のEVAを使用したことによる発電量低下率が94%だったのに比べ、2%まで大幅に改善されたことが確認できたという。
また、この技術を、酢酸ビニル濃度を高めたEVAに適用することで、PID現象の抑制と高い透明性の両立を確保できたとされる。
住友化学は、新開発の「スミテート」が、高い発電効率を要求されるメガソーラー向けに特に効果を発揮するものと期待を寄せている。
同社は今後ラインアップを拡充し、顧客ニーズの多様化に応えることで持続可能な社会の発展に貢献していくかまえだ。
▼外部リンク
住友化学 ニュースリリース
http://www.sumitomo-chem.co.jp/newsreleases/