今月20日、和歌山市岩瀬にある新築現場で「グラベルウッドパイル工法」による初の施工が行われ、新工法普及に向け、間伐材が地面に深々と打ち込まれた。
この新しい工法は、県内の株式会社オオニシが地震発生時の液状化や軟弱地盤対策として、平成21年に構想し、「わかやま中小企業元気ファンド」などの助成を受け、5年の歳月をかけ開発を進めてきた。
和歌山県は、世界遺産熊野古道で知られる紀伊山地を有し、紀州材と呼ばれるスギやヒノキの日本有数の産地となっている。そこで県は建設工事で使う木材の使用を増やし、紀州材の利用促進を図るため注力してきた。新工法は、紀州材の間伐材と砕石を組み合わせており、試験施工は今年の5月9日に実施されている。
このグラベルウッドパイル工法とは、地盤に打ち込まれた木杭とその周りに締め固めた砕石柱により、建物の不同沈下を抑制する新しい工法である。
木材は水中で腐食しないため、建築基準法では、基礎工事に木材が使えるのは地下水面下に限られていた。新工法では、木杭を固い地層から地下水面まで打ち込んで固定し、その周辺を砕石で囲むことで、強度を保つ。地震の際には、砕石の間から地下水を地上に逃がし液状化を抑制する。
本来、基礎構造への木杭の使用は法律で一部の範囲に制限されているが、同工法は、一般財団法人ベターリビングより「法に反しない木杭」として認定され、基礎工事の木材進出の道を開いた。
新工法による作業は、今月20日、22日に行われ、約80坪の土地に40本の木杭が打ち込まれた。重機で地面に深さ7メートルの穴を開け、そこに4メートル木杭と砕石を入れていった。
今後、近畿での施工には紀州材の間伐材が利用される。さらに株式会社オオニシの大西社長は、近年地震が多発する中、関東や九州にも代理店を設けたい意向を示しており、工法普及に意欲を滲ませている。
新しい工法は、木材と砕石を組み合わせた“ハイブリッド沈下抑制基礎杭工法”と呼ばれている。木材資源として有効活用が期待される間伐材を利用したこの工法は、緑豊かな国土を最大限活かし環境へのやさしさも兼ね備えている。
▼外部リンク
「グラベルウッドパイル工法」概要書
http://www.cbl.or.jp/comp/gijutsu/file/gaiyou012.pdf