独立行政法人産業技術総合研究所(以下、産総研)は、9月18日、国立大学法人東北大学(以下、東北大)との共同研究により、灯油の30%相当をアンモニアで置き換えた状態で混焼し、21kWのガスタービン発電に成功したことを発表した。
産総研では、アンモニアは炭素元素を含まず水素の割合が多い水素キャリアとして、発電用燃料としての利用に期待が高まっているのを背景に、その可能性を追究するべく、福島再生可能エネルギー研究所において実証実験を行ったという。
(画像はプレスリリースより)
今回マイクロガスタービン発電装置を開発。さらに、液体と気体の2系統の燃料を供給できる燃焼器を試作した。
まず、灯油だけを供給してガスタービンを起動し、21kWの発電を開始。その後、窒素とアンモニア混合ガスを供給してアンモニアの燃焼を開始し、最終的には窒素供給を止めて、灯油とアンモニア混焼に成功。灯油の供給量を30%削減しても、21kWの発電出力の継続が可能であったという研究成果が得られたとされる。
また、排出された窒素酸化物は、環境基準に十分適合しており、このようなアンモニアを燃料としたガスタービン発電の実証は世界でも初めてと位置づけられた。
なお、この研究開発の1部は、平成25年度JST戦略的創造研究推進事業先端的低炭素化技術開発の委託研究「アンモニア内燃機関の技術開発」において行われ、内閣府が推進する「エネルギーキャリア」の中でも取り組まれているものである。
今後、産総研では、アンモニア比率を増加させた灯油とアンモニア混焼、天然ガスとアンモニア混焼やアンモニア専焼での実証実験を行い、さらなるポテンシャルを追究していく計画だ。
▼外部リンク
独立行政法人 産業技術総合研究所 プレスリリース
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2014/