大林組は8月21日、自動ラック倉庫の耐震装置「TMD(チューンドマスダンパー)制振技術」を新たに開発し、実用化したと発表した。
「TMD制振技術」は、高層ビルの風揺れ対策などに活用されているが、この考え方を自動ラック倉庫に応用したのが「TMD制振技術」である。ラック最上段にTMDを設置することで、ラック頂部の揺れを2分の1~3分の2に抑える。
(画像はプレスリリースより)
「TMD制振技術」で使われるのは、粘弾性体を採用した非常にシンプルな装置で、オイルダンパーの油漏れもないため、倉庫内の商品を傷めることもない。
剛性付与装置(バネ)と減衰装置(オイルダンパーなど)の2つの性質を持つ粘弾性体を採用し、シンプルでコンパクトな装置に仕上げた。これにより、設置はもちろんのこと、動作確認やメンテナンスも簡単に行うことができる。
この技術は既存倉庫への設置を想定して開発されており、取り付けにはスタッカークレーン(自動搬送設備)でTMDをラック最上段に持ち上げ、ボルトで固定する方法を採用した。溶接しないので、火気を使わずに施工できる。
東日本大震災の折りには、自動ラック倉庫から荷物が落下する被害が多く発生し、物流機能が何日も滞った。このため物流業界では、BCP(事業継続計画)対策を強化させるために、耐震性能の高い倉庫への需要が高まっている。
大林組ではこれまで、自動ラック倉庫の耐震性を向上させるために免震構造、連結制振構造といった技術を開発してきた。今回新たに「TMD制振技術」が加わることで、多様化するニーズに合わせた設計、施工技術が提案できるとしている。
▼外部リンク
株式会社大林組のプレスリリース
http://www.obayashi.co.jp/press/news20140821_01