清水建設株式会社(東京都中央区、社長:宮本 洋一)は、2012年に開発した「杭頭絶縁免震」を実地震観測にて実施し、免震効果が顕著になる概ね震度3以上の地震について構造物モデルへ作用する応答加速度を分析した結果、構造物の揺れを約30%低減できることを検証・確認したと発表した。
この工法は、2012年1月から千葉大学・中井正一教授の指導の下、杭基礎構造物の免震化を目指して開発された同社オリジナルで、この工法を用いた検証は、2012年1月から千葉大学構内において107の地震観測に際して行われた。
(画像はプレスリリースより)
実地震に対する免震効果を確認するため、構造物モデルも実際の建築物の1/10のスケールの構造物モデル(82cm×82cm×82cm、重量1.3t、直径10cm×長さ10mの杭4本で支持)2体、それぞれ杭基礎と杭頭絶縁免震を模したものを使用した。
実地震がそれぞれのモデルに作用する加速度を観測・比較した結果、杭頭絶縁免震モデルに作用した加速度は従来比30%低減したことが確認されたとのことだ。
(画像はプレスリリースより)
従来の杭基礎では地震力が構造物に直接伝播し、杭頭部分を剛接合で一体化してきたため、杭頭部分にかかるせん断力も大きかった。
他方「杭頭絶縁免震」では、杭頭と構造物の底版を絶縁・分離することで構造物への地震力の伝播が緩和され、杭頭部分へ作用する力も小さくなる。
その結果、揺れの感じ方が大幅低減できるため杭の断面積と強度も低減できるとともに、接合部強化のための杭頭と底版の複雑な配筋や結合処理が不要になり、基礎工事費の大幅コストダウンと工期短縮が可能になった。
同社は今後もこの検証を通じてデータ収集を継続し、プラント基礎・地上タンク・橋梁基礎等の実構造物へ反映させるべく設計手法確立を目指す考えだ。
▼外部リンク
清水建設株式会社 プレスリリース
http://www.shimz.co.jp/news_release/2014/2014009.html