東亜建設工業株式会社(東京都新宿区、社長:松尾正臣)と飛島建設株式会社(神奈川県川崎市、社長:伊藤寬治)の2社は、国土交通省の助成金を得て、大阪大学 倉本洋教授の指導のもと研究開発を進めた結果、建築物の耐震性を外側から補強する工法を共同開発したと発表した。
この『既存梁部材の外側補強工法』は、平成26年2月、一般財団法人日本建築総合試験所の建築技術性能証明(GBRC性能証明 第13-26号)を取得し、すでに2社共同で特許出願中だ。
(画像はプレスリリースより)
このほど開発された『既存梁部材の外側補強工法』は、梁の片側に鉄筋コンクリート造による補強部を設けることが特徴だ。
つまり、従来の工法では既存梁の補強を施すことにより曲げ耐力が想定以上に上昇し、それにつれて梁のとりつく柱がせん断破壊する可能性が大きくなる点に着目。
梁の外側つまり片側のみの部分的な補強を施すことによって補強設計で設定する梁の部材変形量までせん断破壊を発生させず、既存建物の崩壊モードを大きく変化させずに補強できるよう工夫した。
構造的には梁側面に一体化した補強部に、柱に接しないよう柱際に「エンドカット」という隙間を設けることで既存梁の曲げ耐力を緩和した。
そして、既存梁と補強部をあと施工アンカーのみで固定し一体化させることで、従来の接続界面に施す目荒らしを行う必要がなくなり、施工時の振動、騒音および粉塵の発生を低減できた。
施工効率アップに伴い工期短縮とコストダウンも実現でき、従来の工法よりはるかに優れている。
(画像はプレスリリースより)
この工法が開発された背景には、従来の梁側面および底面をU字型に補強していた工法だと居室内に立ち入りで工事を行わねばならず一時転居するなど建物オーナーにとって負担が大きかった。
新開発の工法だと外側からの補強で済むため施工中の引っ越しは不要、片側補強であることから振動、騒音、粉塵の軽減、施工中の入居者のストレスも軽減でき、入居者にとって費用面、環境面、精神面等諸々の負担を軽減できる。
2社は、特に老朽化した集合住宅等耐震対策が遅れがちな既存建物にこの工法を積極的に売り込み、集合住宅等既存建物の耐震改修促進に貢献したいとしている。
▼外部リンク
東亜建設工業株式会社 プレスリリース
http://www.toa-const.co.jp/company/release/2014/140331.html
飛島建設株式会社 プレスリリース
http://www.tobishima.co.jp/news/news140331.html
一般財団法人 日本建築総合試験所
http://www.gbrc.or.jp/