株式会社錢高組(本店:大阪市西区)が2013年1月、埼玉県八潮市に物流センター「ロジスクエア八潮」(柱RC梁S構造 4階建、建築面積10,507.68㎡、延床面積19,094.62㎡)を完成させた。
改良型柱CR梁S構法は一般財団法人日本建築総合試験所の建築技術性能証明を改良取得した同社独自の構法で、今回が導入した初の試みである。
近年増えている大型ショッピングセンターや中大型物流施設など長スパン空間が求められる大規模施設にうってつけの構法だ。
(画像はニュースリリースより)
同社独自の改良型柱RC梁S構法とは、高軸力に有利なCR造の柱と長スパンに適したS造梁を組み合わせた合理的な工法である。
特に注目すべきは柱梁接合部内の構造で、CR柱をS梁に貫通させ、構造性能に優れた鋼板で四方から接合部を被覆する「ふさぎ板形式」と、建物の外面に鋼材が露出しない「せん断補強筋形式」の2種類が可能となった。
(画像はニュースリリースより)
梁接合部内直交部では梁を鉛直方向に梁高さ分までずらすことで直交部の強度が増し、かつ段差の大きな床にも対応できる。ロジスクエア八潮では建物全体の軽量化を図るため4階の柱のみS造としたが、1~3階の柱にこの構法を採用した。さらに大型システム型枠も採用して工事の省力化、作業の平準化も試みた。
この構法で可能となった「偏心梁」は特に外周柱に活かされ、梁心を柱心の外側1/4までずらすことで外周に跳ね出していたスラブ部材やハンチ部も省け一層のコストダウンが図れた。
梁せいの高さも1/2まで削減できるため建物の安全性を確保しつつ、梁方向によってますます効率的な資材活用も可能となった。
従来は柱や梁に一定の径や重量を持たせることで強度を確保したが、鋼材価格の高騰などを背景に、同構法は従来以上の強度や耐震性を備えつつ資材価格を抑えることができる理想のコストパフォーマンスを実現した。
消費者のライフスタイルの変化や購買意欲の高まりに応じて各地駅前では再開発が進み、郊外では大型ショッピングモールも続々オープン、通販利用者もますます増加しつつある。
安全性や耐震強度を満たした大型ショッピングセンターや中大型物流施設で今後さらに導入が進みそうだ。
▼外部リンク