国土交通省所管の独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」(横浜市)が発注した2014年度末に開業予定の北陸新幹線(長野-金沢間)における消雪・融雪設備工事をめぐる談合疑惑で、東京地検特捜部は22日、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で、工事を受注した複数の設備工事会社の担当社員から、一斉に任意で事情聴取を始めた。
談合疑惑が持たれているのは、日本有数の豪雪地帯を通る北陸新幹線の線路に温水をまく消雪設備や、熱で雪を溶かす融雪パネルを設置する工事で、機構の東京支社が11年3月~12年11月に発注した工事13件の競争入札。
入札記録から、この入札13件の総額は約260億円にのぼり、このうち10件で予定価格に対する落札額の比率を示す落札率が90%超だったこともわかっている。
談合の全容解明を目指し、公正取引委員会では昨年9月、同法違反容疑で入札に参加した高砂熱学工業、新菱冷熱工業、三機工業、大気社(いずれも東京、)ダイダン(大阪市)、柿本商会(金沢市)など十数社と、発注元の機構東京支社に強制調査を行っており、13年度内の刑事告発に向け、特捜部と協議している。
関係者への取材を行った結果、入札前に、幹事社役とされる数社の担当者が銀座の中華料理店で会合を開き、受注する順番などを決めていた疑いが生じており、公取委の調査に担当者の大半が談合を認めていることも分かった。
一部の報道では「支援機構の職員から予定価格を聞いた」との情報も取りざたされており、機構側が関与した「官制談合」の可能性も指摘されている。
北陸新幹線は東京から北陸を経由し大阪まで約700キロを結ぶ線路。1997年に東京-長野間で長野新幹線として先行開業し、2014年度末に長野-金沢を延伸開業し、金沢-敦賀の25年度末までの開業を目指している。
▼外部リンク
鉄道・運輸機構
http://www.jrtt.go.jp/