清水建設は1月22日、耐震性と施工性の高い「SDクリップレス天井」を発表した。
国内で用いられている吊り天井には、天井ボードのビス留め、野縁のクリップ留め、躯体から吊り下げる吊りボルトで部材を繋ぎ止める構造が一般的だ。
しかし地震時の大きな揺れで、野縁と野縁受を連結するクリップが破損し、天井崩壊を起こす危険性が高いことが指摘されている。それにもかかわらず、従来の構造のままに耐震強化が図られているのが現状だ。
そこで清水建設は構造そのものを見直し、米国西海岸やニュージーランド等で一般的に使われている野縁・野縁受が一体になった下地材と、清水建設が開発した耐震ブレースのハイブリッド化を実現。クリップ留め使わない「SDクリップレス天井」を開発した。
技術研究所での実証実験では、天井面で1Gレベルに達する地震動では天井が損傷しないこと、2Gを超える地震動でも一部に損傷が生じるだけで崩落しないことが確認・検証できた。
(画像はニュースリリースより)
「SDクリップレス天井」は、野縁と野縁受が一体になったTバー(格子状下地材)に、独自開発の耐震ブレースを組み合わせて、耐震性を著しく強化させた。
Tバーは長尺のメインバーと、短尺のクロスバーの2種類の資材を組み合わせた格子状の下地材で、一つの格子の大きさは910mm×455mm。吊元となる上階の躯体からメインバーを吊り下げ、その両脇からクロスバーを差し込むと、クロスバーの端部が噛み合って脱着できなくなる。
耐震ブレースは、30平米ごとに配置するレの字型のブレースと、20平米ごとに配置するV字型のブレースを併用してTバーと上階の躯体を連結させる耐震吊り天井用の部材である。
(画像はニュースリリースより)
「SDクリップレス天井」の部品点数は、従来の耐震天井の約半数であることから、施工性が20~50%向上し、工期も10~20%短縮できる。さらに、材料費と労務費の比率が「40:60」から「65:35」となるため、人件費節約にも貢献する。
施工に当たっては、大建工業がTバー材を、能重製作所がその他の部品を調達・供給する。清水建設は今後、「SDクリップレス天井」を積極的に採用していく方針だ。
▼外部リンク
清水建設株式会社のニュースリリース
http://www.shimz.co.jp/news_release/2014/2013055.html