大成建設は1月15日、高密度市街地で威力を発揮する「都市型小変位免震」を開発したと発表した。
新開発の「都市型小変位免震」は、今までの半分程度の省スペースの免震クリアランスでも、最適な免震効果を発揮するのが特徴である。
(画像はニュースリリースより)
一般的な免震建物では、建物の周囲に60cm程度の免震クリアランスが必要となる。都市部の密集地域では敷地面積に制約があるため、クリアランスの確保が困難となるケースが多い。このため免震層のダンパー数を増やして抵抗力を高める必要があるが、一般的な免震建物と比べて居住性が損なわれるという課題があった。
そこで大成建設は、揺れの大きさに応じて抵抗力を変化させる「切替型オイルダンパー」を開発し、免震クリアランスを30cm以内に抑えることに成功した。これで都市部の限られた敷地でも、建築面積を最大限に確保できるようになった。
(画像はニュースリリースより)
「切替型オイルダンパー」は揺れの大きさに合わせて、自動的にモードを切り替える装置。発生頻度の高い中小地震には「低減衰モード」で対応し、震度6~7クラスの大地震が起こった際には機械式のシャットオフ弁が自動で働き、オイル流路の一部を塞いで「高減衰モード」に切り替わる。
この装置は電気などのエネルギー源が不要なので、電気供給がストップした有事の際にも確実に作動する。電機部品を使わないため、メンテナンスフリーであることも優れた特徴となっている。
「切替型オイルダンパー」は大成建設とカヤバシステムマシナリーが共同開発し、昨年10月、国土交通大臣の免震材料認定を取得した。「機械式の免震用切替型オイルダンパー」で、大臣認定を取得するのは国内初となる。
新開発の「都市型小変位免震」は、今春に竣工予定の大成建設 技術センターZEB実証棟に適用される。今後は銀座や新宿などの高密度市街地を中心に積極的な営業展開を行い、実用化を進めていく方針だ。
▼外部リンク
大成建設株式会社のニュースリリース
http://www.taisei.co.jp/about_us/release.html