清水建設株式会社は、アサヒテクノ有限会社と共同で、軟弱粘性土地盤の新たな地盤沈下対策工法として、地盤内の地下水の吸引(Absorption)・排出と沈下(Subsidence)を効率的に促進させる「A&S土性改善工法」を開発・実用化した。
これまで、軟弱粘性土地盤を対象とした地盤の沈下対策工事の多くは、地中内へ垂直に排水ドレインを建て込んで、盛土による重さを利用することにより、地下水をドレインから排出。圧密沈下を図る載荷重工法を採用してきた。
この工法はあまりコストがかからないのだが、盛土の荷重に頼ることになるため、十分な対策効果を発揮できるまでに半年以上という長期の工期を必要とする。
他にも地盤にセメントを添加・混合して固める固化処理工法もあるのだが、こちらは即効性があるものの2倍以上の工費を要するため、載荷重工法では工期に対する要請に応えられない場合等に採用されている。
(画像はプレスリリースより)
「A&S土性改善工法」は、工期と工費において中間的な位置付けの工法だ。開発に当たっては、アサヒテクノの特許工法・スーパーウェルポイント工法に着目した。SWP工法は、軟弱粘性土地盤の沈下対策工法の一つであり、空気を通さずに水だけを吸引する特殊スクリーンを巻きつけたケーシングを井戸内に設置することによって、ケーシング内を減圧し、強制的に地下水を吸引・排出するものだ。
具体的には、SWP工法のケーシングに加え、固定式と移動式の吸・送気管を最適な位置に配置、地盤内に空気を吸気、送気することによって水みちを形成し、地盤内の地下水の排水を促し、載荷重による沈下を促進する。
本工法は、3つの対策技術をひとつの工法にまとめてシステム化することで、対策効果を最大化できる。
▼外部リンク
清水建設株式会社 ニュースリリース
http://www.shimz.co.jp/news_release/2013/2013048.html