太田昭宏国土交通大臣は6日(金)、千葉県で行われた土木学会平成25年度全国大会に出席した。
特別セッションの一環として、太田大臣は「これからの公共事業論」と題した基調講演を行い、今後の公共事業のポイントとして「命を守る公共事業」「成長に寄与する公共事業」の2つを挙げた。
「命を守る公共事業」のでは、防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化を今後の公共事業の主流に据えることに加え、今年をメンテナンス元年に位置付け、高度経済成長期以降に集中的に整備した施設を、単に修繕したり更新したりするのではなく、予防保全の考え方を導入しながら、費用面にも配慮した長寿命化を図っていく必要があると論じた。
また、そのような技術力が高い老朽化対策のノウハウは、将来的に海外輸出にもつながる可能性があり、防災・減災、老朽化対策、メンテナンスに関するICTの技術開発(例、ロボット技術)を通じて、土木分野から次世代の世界をリードする技術革新を引き起こすべきだと述べた。
さらに(橋や道路などの)高質で効果的な維持管理をするためには、技術開発の導入とともに、多くの技術者が活用できる汎用性のある技術をメンテナンスエンジニアリングとして確立させるべきであり、「点検の質の向上」のためにも今後は、企業や自治体レベルで、点検できる人材、監督・照査のできる人材の育成が重要だと述べた。
続けて、「成長に寄与する公共事業」については、「命を守る公共事業」とともに「魅力、安全、活力」を生み出す公共事業を進めることが必要で、老朽化した施設の改修・更新に併せて、土木技術と建築技術の融合により生み出された新しい機能や美しい景観を形成する「デザインアセスメント」が重要だと述べた。
また、官民が一体化した魅力ある都市再生を行う必要性も説いており、老朽化した施設の更新に併せて、民間投資を呼び起こす取組(規制緩和等)も必要であると訴えた。
土木学会に対しては、メンテナンスエンジニアリングの確立や人材育成等、連携して実現する課題も多いことから、今後、一層の連携を期待すると述べた。
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