大林組は6月28日、IoT・AI技術の活用により最適な建物管理を実現する、新たなビルマネジメントシステムの開発に着手すると発表した。
昨今では建物の内外に、温度・照度を計測するセンサー、カメラなど、さまざまな情報機器が設置されるケースが増加している。一方で大林組によれば、これら機器から得られた情報は空調、照明、セキュリティーなど、それぞれ独自のシステム内においてのみ利用され、相互の利用は行われてこなかったという。
そこで大林組では今回、モノのインターネット化であるIoT技術を用いて、センサー情報をはじめとする建物内外の多様な情報をクラウドシステムに集約。情報が個別のシステムにとらわれることなく、相互利用が可能となるようなシステムの開発を目指す。
また同システムにおいてはAI技術の活用により、温熱や光環境等に関するし好を建物利用者が各種端末から申告することで、利用者個々人が快適に過ごせるようにする建物制御も盛り込む。
この建物制御においては、利用が繰り返されることによって自動的なチューニングが進み、時間の経過に伴ってより利用者に最適な環境に近づいていく、学習制御の仕組みを採用するという。
さらに、室内の温熱環境・自然光利用度の見える化や、建物利用者個々人の滞在時間の見える化を施すことで、建物利用者に向けた情報発信もあわせて行う計画だ。
加えて大林組では、同システムのメリットは建物利用者だけでなく建物管理者にも及ぶとしており、具体的には故障前段階でのメンテナンスや更新を実現する、予防保全の精度向上が実現するとのこと。
これは、照明器具や空調機、ポンプ類など各種設備機器に関して、エネルギー消費量や運転効率といったデータをクラウドに集約、多面的な解析を行うことで、機器の劣化状況や更新時期の予測が可能となることによる。
大林組ではこのシステムについて、東京都内のテナントオフィスビルにて2017年9月から実証運用を開始、さらなる検討を重ねる考えだ。
また将来的には、複数の建物から収集したビッグデータとAI技術をかけあわせることで実現するエリアマネジメントシステム、ならびにBIM(Building Information Modeling)データとの連携なども視野に入れ、開発を進めていくとしている。
(画像はプレスリリースより)
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