鹿島建設株式会社は5月17日、Doka Japan(ドカジャパン)社製のセルフクライミング装置と大型型枠部材を組み合わせた新たな型枠機構を開発した、と発表した。
ダムなどの大型構造物のコンクリート打設作業には、型枠を移動させて作る工程が必要であるが、ものの落下や墜落・転落などの危険、クレーン作業とダンプトラックによるコンクリート運搬作業の連携不足など、安全面に問題が生じていた。
また、近年の建設業界における熟練技能労働者不足や若年層の入職者不足による人手不足の中、特殊技能作業員を確保することは困難である。
鹿島建設は、これらを解決するため、多くの人手を必要とするクレーン作業を行わない、油圧により自動で型枠をスライドさせる新たな型枠機構を開発した。
従来、ダム堤体に幅15mのブロックのコンクリート型枠作業を行う場合、ブロックを5分割した幅3mの型枠をクレーンで吊り上げ組み立てていた。
新たな型枠機構は、型枠を油圧ジャッキで上昇させるセルフクライミング装置に、以前からダム現場で使用している鋼製型枠部材(メタルフォーム)と大型壁型枠部材(シャタリング)を組み合わせ、幅15mの型枠を一気に自動スライドさせるものである。
この機構は、セルフクライミング装置が型枠を外側から保持するため、従来行っていた型枠を固定する溶接作業が不要になった。
また、クレーンオペレータを含む1班あたりの作業員が5名から3名と、40%削減できた。幅15mの型枠作業時間が、280分から220分に21%短縮できた。特殊技能作業員でなくても施工が可能であった。
型枠作業の足場が躯体に常に固定されているため、高所でも安全に作業できる。クレーン作業がないため、ダンプトラックによるコンクリート運搬作業が安全に行えるようになったとのこと。
鹿島建設は、実際に大分川ダム建設工事の洪水吐減勢工へ新たな型枠機構を適用し、コンクリート打設作業を成功裏に完了した。
今後、幅15mから幅45mの3ブロックの型枠自動スライド機構を開発し、コンクリート型枠作業で、全く人力を必要としない「全自動化」を目指すという。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
鹿島建設株式会社のニュースリリース
http://www.kajima.co.jp/news/press/201705/17c1-j.htm