株式会社竹中工務店は3月3日、設計施工一貫BIMを薬師寺食堂(じきどう)復興事業に適用した、と発表した。
BIM(Building Information Modeling)とは、コンピュータ上に作成した3次元の形状情報に、部屋の名称・面積、材料・部材の仕様・性能、仕上げなどの、建築物の属性情報を付加した建物情報モデルを構築すること。
薬師寺食堂復興事業は、奈良県奈良市西ノ京に位置する薬師寺の食堂(じきどう)の外観を白鳳時代の木造寺院建築に復元するもの。内部は、伝統的な木造建築の意匠と、建築家伊東豊雄氏の現代的意匠が融合した大空間になる。
薬師寺食堂は、延床面積649.79平方m、高さ14.36mの地上1階建寺院である。
竹中工務店は、堂宮大工の伝統的な技法と、鉄骨造という現代技術とを「設計施工一貫BIM」で融合させた。
BIMモデルの作成には、遺構調査、現存する同時期の建造物国宝薬師寺東塔などを参考とした復元図を基本とした。さらに、大工の作図技法である規矩術(きくじゅつ)を取り込み、日本の寺院建築特有の曲面屋根の反りや各部材の細部までモデル化した。
薬師寺食堂の内部は軒の懐が狭いため、BIMモデルを用いて鉄骨造を収め、白鳳時代の木造寺院建築の屋根を再現できたという。
薬師寺食堂復興プロジェクトは、元奈良文化財研究所所長鈴木嘉吉氏の監修のもと、食堂内仏画を東京藝術大学名誉教授田渕俊夫氏が担当し、復元設計などを株式会社文化財保存計画協会、内部設計などを株式会社伊東豊雄建築設計事務所が行った。
竹中工務店は、建物の構造・設備設計・実施設計・監理および施工を行った。2017年5月の竣工を予定している。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
株式会社竹中工務店のニュースリリース
http://www.takenaka.co.jp/news/2017/03/02/index.html