熊谷組は、1月25日、ダムのグラウチング技術による「減水対策工」を実施した結果、トンネル坑内からの大量湧水を低減できたことを明らかにした。
同社は現在、鹿児島県発注の北薩横断道路 北薩トンネル(仮称)の工事を手掛けている。このトンネル工事のうち、出水工区では、掘削中に毎時最大1,200トンもの大量湧水に、また、トンネル貫通後も恒常的に毎時約600トンの湧水に見舞われた。
さらに、抗口から1,500~2,200メートルの区間では、湧水に高濃度のヒ素が含まれていることも判明したという。
今回、同社はヒ素を含む大量湧水を減少させるため、湧水箇所の地山を坑内から改良して、湧水量の減少を図る「減水対策工」を実施。
具体的には、トンネル掘削完了後、坑内からトンネル全周方向に、リング状の厚さ3メートルの地山改良ゾーンを形成し、遮水性の改良を図る「コンソリデーショングラウチング工」を採用した。
この工法は、従来のように、掘削前に行う工法ではなく、事例もなかったことから、同社では数々の試験データを収集。新開発の浸透性に優れた「極超微粒子セメント(日鉄住金セメント社製)」を材料とした薬液を注入することで、地山を改良することを決めた。
対策の結果、地山を改良することに成功。施工後の湧水量は、「減水対策工」を実施した100メートル区間で、毎時最大300トンあった湧水量を毎時40トン以下に低減することができたとされる。
また、地下水位は昨年8月、トンネルの上方約160メートルまで回復。これまで事例のなかった対策工による効果の有用性が、改めて確認された結果となった。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
熊谷組 プレスリリース
https://www.kumagaigumi.co.jp/news/2017/pr_170125_1.html