国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトにおいて、国立研究開発法人産業技術総合研究所と国立大学法人静岡大学は12月21日、バッテリーで駆動するロボットに搭載可能な小型で軽量の高エネルギーX線非破壊検査装置を開発した、と発表した。
今回のX線非破壊検査装置の開発は、NEDOプロジェクト「インフラ維持管理・更新等の社会課題対応システム開発プロジェクト」における非破壊検査装置の研究開発による成果である。
日本国内には、高度成長期以降に建設されたインフラが多数あり、経年変化等による老朽化が懸念されており、今後も安全かつ有効に活用するにはインフラ構造物の効率的な点検、保守管理が必要である。
X線を用いた非破壊イメージング技術は、工場や発電プラントなどのインフラ構造物内部を検査する技術の1つであるが、X線装置を手動で操作しているため、多くの検査時間を要している。
プロジェクトにおいて、産業技術総合研究所および静岡大学は、バッテリーで駆動するロボットに搭載可能な小型軽量で、検査に十分な透過能力を持つ高エネルギーX線非破壊検査装置を開発した。
高エネルギーX線非破壊検査装置は、カーボンナノ構造体の高エネルギーX線源とX線検出器からなり、1ショット0.1秒のX線照射で5cm厚、複数ショットで厚さ7cm以上の鉄鋼部材の透過イメージングを撮像できる。
重量は、X線源と検出器で5kg以内という小型軽量で、全て平均消費電力が40W以下という省エネ仕様であるため、既存のプラント配管検査用ロボット用の14.8Vバッテリーで駆動が可能である。
X線源と検出器の間に1cm厚の鋼板を5枚置き、鋼板の間に3mmの鉛文字を挟み、1ショット0.1秒のX線照射で撮像したところ、鉛文字の画像が得られた。また、光変換型X線検出器では、18ショットのX線照射を行い、撮像を蓄積して7cm厚の鋼板を透過したイメージング画像が得られた。
この結果、プラントの配管など厚みのある金属部材の減肉検査を高精度に検査できることを実証した。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
NEDO
https://www.nedo.go.jp/index.html
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP431912_R21C16A2000000/