奥村組は、11月29日、既設の鉄筋コンクリート柱(以下、RC柱)の耐震補強において、高強度鉄筋と吹き付けモルタルを使用することで補強部材を薄くした「曲げ補強工法」を開発したことを発表した。
鉄道橋や道路橋等の既設RC柱の耐震補強では、これまで「RC巻立工法」や「鋼板巻立工法」が採用されてきた。しかし、どちらの工法もコストや施工性が課題であったことから、双方を克服する新工法が求められていたという。
今回開発した補強工法は、同社の得意技術である「スパイラル筋巻立工法」がベース。これに、曲げ補強用の軸方向鉄筋を付加し、吹き付けモルタルで仕上げる技術である。
具体的には、軸方向鉄筋に高強度鉄筋を使用。鉄筋数量の低減、鉄筋径の小径化、補強部材の薄層化を可能とした。
また、基礎部に定着させる軸方向鉄筋の先端を突起状に加工し、定着力の向上ならびにそれに伴う定着長の低減を図ることで、定着部削孔時の鉄筋損傷リスク抑制につなげた。
さらに、せん断補強鉄筋は、事前に工場で加工し、現地で機械式継ぎ手を使用しながらスパイラル状に組み立てることができるため、施工性・作業性向上に貢献するという。
同社は、鉄道総合技術研究所の技術指導のもと、実橋脚の縮小試験体を使用した正負交番載荷試験を実施。新工法が、現行の設計手法で算出される曲げ耐力、および変形性能に対して高い整合性を示し、適用可能であることを確認した。
今後、同社は、曲げ補強が必要なRC柱に対し、この新工法を強く推進していく方針である。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
奥村組 プレスリリース
http://www.okumuragumi.co.jp/news/2016/index10.html