三菱重工業株式会社は11月29日、スウェーデンのリングハルス電力が運用するリングハルス原子力発電所3号機において、加圧水型軽水炉(PWR)の加圧器管台(ノズル)の取替工事を完了した、と発表した。
リングハルス電力は、スウェーデンの国営電力庁が民営化されて発足した総合エネルギー会社であるバッテンフォール電力の傘下企業。
リングハルス原子力発電所は、スウェーデン第2の都市イェーテボリの南方約60kmにあり、設置されている原子炉4基のうち2~4号機がPWRである。3号機は出力103万4,000kWで、1981年に稼働した。
初期の原子力発電プラントでは、リスクを低減させ、プラントの信頼性向上や長寿命化に向け、蒸気発生器・上部原子炉容器・加圧器などを交換する工事が実施されている。
今回の管台取替工事において、三菱重工は、技術検証、認証試験、装置製作、材料調達および現地工事を施工した。
3号機が定期点検で停止中の約2ヵ月間に、安全弁管台や逃がし弁管台など、加圧器(高さ12m、直径2.4m)に取り付けられている管台6ヵ所の継手部を、600系ニッケル基合金から690系ニッケル基合金に交換し、信頼性向上を図った。
690系ニッケル基合金は、ニッケル、クロム、鉄を主成分とし、600系Ni基合金よりクロム量が多く、高温・高圧下での耐腐食性に優れた合金。
工事現場は、周囲が狭く放射線量の高い環境。熟練工100人超の体制で約45日間の昼夜勤連続対応により、高難度の溶接作業等を行い、計画通り短期集中で工事を遂行した。
三菱重工にとって欧州初となる原子力発電設備の大型保全工事を、高品質かつ納期通りに完了できた。
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三菱重工業株式会社のニュースリリース
http://www.mhi.co.jp/news/story/1611295817.html