防潮堤
防潮堤(ぼうちょうてい)とは、台風などによる大波や高潮、津波の被害を防ぐ堤防のことである。平均、干潮面から4.6~8.0mの高さで整備されている。
防潮堤は、陸上にあり、高潮・高波・津波などの浸入を防ぐための堤防である。一方「防波堤」は、海の中にあり、外洋からの波(風波、津波)に対して港の内側を波立たせないための堤防である。
岩手県宮古市の田老地区には、津波対策として世界最大規模の総延長2,433m、海抜10mに及ぶ巨大防潮堤が存在していたが、東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震の津波で破壊された。
東海地震による津波被害が懸念されている静岡県では、富士市の富士川河口から沼津市西部まで総延長10km・高さ17mに及ぶ防潮堤が存在する。
■防潮堤の種類
・緩傾斜式防潮堤(かんけいしゃしきぼうちょうてい)…ゆるい勾配で土を盛り、その表面をコンクリートで被覆したもの。
・自立矢板式防潮堤(じりつやいたしきぼうちょうてい)…鋼矢板を打ちこんだ上部にコンクリート製の壁を設けたもの。
・棚式防潮堤(たなしきぼうちょうてい)…地中に鋼管杭(鋼製の杭)を打ちこんでから、海側に鋼矢板(鋼製の板状の杭)を打ちこみ、上部にコンクリート壁を設けたもの。
■防潮堤の材料
・鉄筋コンクリート
・巨礫(直径256mm以上の岩石)
・鋼(焼き鍛えて強くした鉄)
・蛇篭(じゃかご:鉄線などでかごを作り、砕石を詰めこんだもの)など。
それ以外にもビニール、木材、アルミニウム、ファイバーグラス複合材、植物性の繊維で作られた生物分解性の砂袋(土嚢)などが使われる。