土物
土物(つちもの・はにもの)とは、きめの細かい粘土で作った器物のことである。建設現場では、湿式製法で作った無釉タイル(釉薬を塗らないタイル)を指すことが多い。磁器質のものに比べて透明感はないが、しっとりとした温かみのある質感を持つ。埴物(はにもの)ともいう。
土物を上塗りに用いた壁は、土物壁と呼ばれる。土物壁は、中国・朝鮮半島から伝わり、以来、数奇屋や茶室などの壁仕上げに多く用いられ、和風建築の壁の主流となった。土物壁を作る際に、糊を加えずに水だけで粘土を捏ねて仕上げる工法を土物仕上げという。
※湿式製法…水分を含んだやわらかい粘土状の素材を、押し出して成型する製法