製薬プラントとは

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製薬プラント

かつては、木や草花、虫、鉱物など、自然界にあるものを薬として使っていました。最近ではバイオテクノロジーの発達により、生体成分を利用した薬も増えています。これからはゲノム創薬の時代へと変わっていきます。

 

製薬プラントとは

製薬プラントは、医薬品を製造するプラントです。原薬、治験薬、固形製剤、注射剤、点眼剤など、多くの医薬品が製造されます。2011年の医薬品生産額は、医療用医薬品、一般用医薬品、配置用家庭薬の合計で6兆9,873億円となっています。

 

 

医薬品の製造工程

医薬品の製造工程は大きく分けると、有効成分となる薬そのものを作る原薬工程と原薬を錠剤や顆粒剤、注射剤などに形づくる製剤工程に分かれます。
(1)原薬工程
原薬は、化学品プラントのような設備で製造を行います。ここでは、作業者がコントロールルームでプロセス制御を行って原薬を製造します。
(2)製剤工程
製剤工程では、まず原薬と乳糖やでんぷん粉などの賦形剤を秤量して混ぜ合わせて顆粒状に造粒します。 そして、打錠機で錠剤をつくり、砂糖がけやフィルムコーティングを行います。
錠剤とした後には、物理的検査や化学的検査を行います。さらに、錠剤を包装して製品出荷検査を行います。製造部門や品質部門での記録など総合的に判断して出荷可否を判定します。

 

 

医薬品開発のプロセス

医薬品は、研究・開発から臨床試験を経て製造され、世の中に提供されます。
日本では、ひとつの薬ができるまで、10~15年もの年月を要し費用は約500億円ともいわれています。
(1)基礎研究(2~3年)
植物・鉱物・動物などの天然素材から薬用成分を抽出したり、化学合成、バイオテクノロジーなどにより薬の候補となる化合物をつくってその可能性を調べます。 最近では遺伝子情報の活用も進められています。
(2)非臨床試験(3~5年)
薬になる可能性のある新規物質を対象に、有効性と安全性を研究します。体内における吸収・分布・代謝・排泄などの動態や品質、安定性に関する試験も行います。
(3)臨床試験(3~7年)
新薬が人にとって有効で安全なものかどうかを調べます。医療機関で患者さんに同意を得て、くり返し試験を行います。データを収集して、薬としての可否を判断します。
(4)承認申請と審査(1~2年)
有効性・安全性・品質が証明された後、厚生労働省に対して承認の申請を行います。薬事・食品衛生審議会などの審査を通過した後、薬価基準に収載され、新薬として製造・発売することが可能となります。

 

製薬プラントの課題

(1)GMP対応
GMP(Good Manufacturing Practice)とは、医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準のことです。2005年の薬事法改正においてGMPに適合していることが医薬品製造業の許可基準となっています。原料の保管、品質チェック、製造工程中の中間製品の品質検査による工程管理、最終製品の品質検査・保管などをマニュアル化して遵守します。
汚染防止の点からは、作業者の関与を極力少なくし、さらに、人と物の動線を考慮して、適切なゾーニングを計画します。また、必要なクリーン度や室圧等に対応した空調システムを計画します。
近年では、毒性や変異原性、過敏症を発現する物質を原料とする場合もあるため、これらの物質の漏洩・拡散を防止する封じ込め技術が重要となっています。
(2)品質保証
医薬品の品質保証は、臨床試験で確認された有効性と安全性を実際の使用時において保証するものです。製造された製剤を検査することで品質を保証するのではなく、保証できるものを製造していくことが大切です。
安定性の確認では、高温、高湿度、酸化、光による影響を検討して貯蔵条件、及び有効期間を設定します。

(3)生産効率
原薬工程では、人の作業は、原材料の計量、運搬、投入などの準備作業やサンプリング試験、設備の洗浄、清掃などが主なものとなるため、原材料の歩留や設備の稼働率が製造コストに大きく影響します。
製剤工程では、設備の稼働率向上に加えて、生産の切り替えスピードや作業者の効率的配置が製造コストに影響します。特に、試験工程は労働集約型であるため、労働生産性の向上が大切になります。

 

医療費の課題

超高齢社会を迎えるわが国では、医療費の増大が今後も続くと見込まれ、医療費抑制のための薬価引下げが大きな課題となっています。国は、2年に一度、10%程度の薬価引き下げを行い、より安価な後発医薬品(ジェネリック)薬を増やすという方針を打ち出しています。

 

用語解説

※遺伝子診断
遺伝子を調べると、それぞれの人のかかりやすい病気や薬の効き方、副作用の出方などもわかる可能性があります。また、遺伝子に異常がある場合などにも有効な治療方法を調べることができます。

 

※ゲノム創薬
ゲノム創薬とは、ゲノム情報をもとに、病気に合わせた新しい薬を開発することです。ゲノムとは、DNAのすべての遺伝情報のことで、遺伝子(gene)と染色体(chromosome)から合成された言葉です。

 

※バイオ医薬品
バイオ医薬品とは、遺伝子組み換えや遺伝子のクローニングなどのバイオテクノロジーにより創られた薬のことです。インスリンのように病気を治す薬だけでなく、がんの診断に使われる腫瘍マーカーなどの検査薬もあります。

 

※抗体医薬品
抗体医薬品は、副作用の少ない効果的な治療薬として注目されています。免疫システムの主役である抗体が一つの標的(抗原)だけを認識する特徴を利用します。ゲノム解析により、創薬のターゲットとなる抗原分子が特定されていくことで、抗体医薬の可能性が拡大していくことが期待されています。

 

※バリデーション
 検査・分析の方法やその作業プロセスなどが適切であるかを科学的に検証することです。医薬品の製造や品質管理に必要な設備や工程が、期待される結果を与えることを検証して文書化します。医薬・製薬業界では欠かせないものです。

 

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