脱塩装置
脱塩装置とは、常圧蒸留装置の中に設置されている、蒸留前の原油から不純物(水分・塩分・鉄分・泥など)を取り除くための装置。
原油中に含まれた塩分は、原油の精製過程のなかで、熱交換器や原油加熱炉のチューブを汚す原因となる。また、塩分の中に含まれる塩化マグネシウムや塩化カルシウムは加熱炉で分解され、塩化水素を発生させる。発生した塩化水素は、蒸留塔の塔頂部を腐食させる原因にもなる。また、残存する塩分は、精製された重油の品質を悪化させる原因にもなる。
このように、塩分は常圧蒸留装置の劣化に加え、精製される物質の品質の悪化を招くため、脱塩装置がとりつけられるようになった。
■脱塩装置の仕組み
脱塩装置には、高電圧をかけられるように電極を取り付けた脱塩槽(デソルター)が加熱炉の上流に取り付けられている。
脱塩槽に流れ込む前の原油に少量の水を加えることで原油内の不純物と水を混ぜ合わせ、その後は脱塩槽内に流れ込んだ原油に電圧をかける。
静電作用によって、不純物が溶け込んだ水のみを分離させることができるという仕組みである。
このように、静電気作用によって脱塩を行う方法は電気脱塩法といわれ、最も一般的な方法である。脱塩法にはこのほかに、薬剤を使って水と原油を分離させる化学的脱塩法がある。